お疲れモードの現代人は、簡易マッサージ機に注目


若い層ほど疲れを実感!?現代人特有の疲労の原因とは

着々と進む少子高齢化に合わせ、家電量販各社とも、取り扱い商品の拡充や健康コーナーの売り場面積拡大など、健康関連商材の販売に力を入れている。
一方、販売員に話を聞くと、マッサージ機器コーナーには20代~の特に女性が訪れる機会も増えてきたという。

図表1を見ると、「とても疲れている」「やや疲れている」を合わせると、女性全体の90%以上が疲れを感じている。特に20~50代で疲労を実感している人が多い。この結果は、男性にも共通しているようだ。

某メーカーの担当者に現代人の疲れについて「働き盛り層は、部位ごとに疲労やコリを感じる傾向が強く、高齢者層は、加齢とともに体全体に重さを感じるようになります。」と指摘。疲労の感じ方は年齢層によって顕著に違うという。

図表2を見てみると、「首や肩のコリ」「目の疲れ」「腰痛」が4位以下比べて圧倒的に多く、上位3項目は男女ともに同じ結果となった。

前述の担当者によると、特に働き盛り層の疲れは、PCによるデスクワークの増加やスマホの使用による「前傾姿勢」が原因となっていることが多いという。

人間は座っている時、腰で2つに折れ曲がるため、血液の循環が悪くなる。エコノミー症候群はこのような仕組みが起因している。心臓から送り出された血液が足まで到達すると、ふくらはぎのポンプでまた上半身へと巡っていく。この血液の流れが、腰が折れることで流れにくくなるのだ。前傾姿勢での血流悪化とともに、PCやスマホの長時間使用でその態勢が維持され、さらに疲れやコリを増長させてしまうのだという。

他メーカーの担当者によると、女性の社会進出が進み、ストレスによるホルモンバランスの乱れとともに冷えを慢性的に抱えている人が多いという。マッサージ機の温め機能は季節を問わず需要が高いという。

このように、もともとの人間の体の仕組みに加え、デジタルデバイスがもたらす影響、そして女性の社会進出により、現代人特有の疲れの傾向があるようだ。

シートタイプの登場で市場に変化

20代からの働き盛り層は、部分的にコリを抱えている人が多いようだが、これはマッサージ機の購入傾向にも表れ始めているという。GfK Japanのデータ(下図)によると、簡易タイプの上昇基調が印象的だ。

メーカーにマッサージ機器の市場動向を聞いたところ、部位ごとタイプは、買い増し需要が高まっているという。高価格の商品ではないからこそ、ニーズに合わせた機器を気軽に買い増せるのだ。また、このタイプはデザイン性の高い商品が多く、自分用だけでなく、プレゼントやパーティーの景品として購入する人も多い。

そしていま最注目なのが、シートタイプ。「シートマッサージャー元年」と言われた15年、ラインアップの拡充とともに飛躍的に販売台数を伸ばした。同タイプはチェアタイプと部位ごとタイプのどちらへも振ることができ、新たなカテゴリとして市場を牽引している。

積極的な売り場づくりで体感促進

注目を集めているシートタイプだが、購入者は30~50代が多く、本格的なマッサージチェアに興味はあるが予算に余裕のない人や、居住空間を圧迫しないコンパクト性、デザイン性を重視する人が多いという。

シートタイプの登場でマッサージ機器市場が再活性化している今、一時のブームで終わらないように、売り場から継続したアピールをすることが大切だ。

マッサージ機器販売は体感第一。シートや部位ごとタイプは持ち運べるという利点を生かし、修理申し込みカウンターやAV機器の視聴コーナーなどに設置し、商品カテゴリの枠を超えてさまざまな場所で体感を促したい。また、体に巻き付けるタイプの商品などは、装着する際に人に見られたくないと思う顧客は多い。理美容コーナーの体感スペースと同様に、細やかな気配りをしたい。