売上目標は140~150億円
JRゲートタワー店の売り場面積は約11,000㎡で、JRゲートタワーの9~10階の2フロアを占める。社員は約120名で売り上げ目標は140~150億円。アイテム数は15万アイテムという。
内覧会の挨拶で福岡の天神館から異動した滝田昌克店長は、「ビックカメラは比較的、男性のお客様が多いのですが、上のフロアにはユニクロ、ジーユー、下はゲートタワーモール、そして横には高島屋百貨店。今回のJRゲートタワー店では駅西になかった新しいお客様、特に女性のお客様の新規開拓に注力し、駅西とは共存共栄を考えています」と述べた。
つまり、周囲の店舗は女性客が非常に多いため、客層自体が既存の名古屋駅西店とは異なる。当然、その立地や環境を生かすということは、女性客を主要ターゲットとして捉えるということだ。では、内覧会での説明を交えて各コーナーを見ていこう。
スポーツウェアの販売を導入
スポーツコーナーでは、スポーツウェアを新たに販売アイテムとして導入した。一方、駅西店ではスポーツウェアの扱いはなく、アウトドア用品を扱っている。駅西店はアウトドアとゴルフと自転車、ゲートタワー店ではゴルフと自転車とスポーツウェアという棲み分けがされているのだ。
このスポーツウェアの導入について滝田店長は「レストラン街の13階にフィットネスクラブの『コクール ルネサンス』があることと、女性のお客様の来店が相当見込まれますので、新たな挑戦をします」と説明をした。
ビックカメラの他店でも多く扱っているUPQ。同店にはUPQの専用コーナーが設けられており、同社の中澤優子社長は「専用のコーナーがあるのは東名阪でゲートタワー店だけ」という。折りたたみ可能な超小型電動バイク『UPQ BIKE me01』を展示しており、女性の購入者が多いと説明をした。
寝具コーナーの隣にあるのはインテリアコーナー。快眠提案コーナーでは、部屋を模した形で快眠のためのインテリアを提案。家電製品で快眠ではなく、寝具での快眠がテーマ。
IoTをシーン別に提示して提案
目玉の一つというIoTコーナー。スマートフォンと家電が連携すると、こんなことができるという事例を玄関、キッチン、リビングというシーン別で展示。展示台にスマートフォンを置き、実際にお客が試せるようになっている。
照明器具売り場の中に「Akari BAR」を配置。これはシェードと電球、ソケットをお客が自分で選んでオリジナルの照明器具が作れるというもの。滝田店長は「照明器具は既存品のみの取り扱いしかなく、部屋のインテリアや好みに合わないというお客様もいらっしゃいます」とのことで、これはいわば照明器具のセミオーダー。「当店がビックカメラの中で初導入したもの」である。
冷蔵庫とエアコンのカラーオーダーが可能
冷蔵庫とエアコンが自分好みのカラーで着色できるカラーチェンジサービスコーナー基本は48色で、最大600色までオーダーが可能。現行品であれば7~8割の製品で色の変更ができるという。
ビューティーコーナーでは家電とともにコスメも試せる。鏡と椅子を配置し、女性客が座って試せるような環境を作った。コスメとドラッグ、美容家電の連動で女性客を売り場に誘引する。
入り口の近くには酒のコーナーを設けている。目につきやすい場所には半額ワインを紹介し、お客を誘引する。特に上層階はオフィス階のため、そこで勤務する女性を意識してワインの品ぞろえを強化した。998,000円のロマネ・コンティも用意。
ビックカメラで力を入れているドローンのコーナー。初級・中級・上級という形でそれぞれのドローンを展示。
レンズの品ぞろえはフルラインアップ。他店にはない超望遠レンズもカメラ本体に装着して体験が可能にしている。
携帯・スマホは売り場を色分け
SIMフリーとキャリアを明確に色分けした携帯・スマートフォン売り場。座って体感ができるコーナーも設置し、購入を検討していないお客でも入りやすいコーナーとなっている。
イヤホンやヘッドホンはすべて試聴ができる。通常は立っている状態で試すが、椅子を配置してお客が座って試すことができるように配慮されている。
かいつまんで紹介をしたが、もちろん、これだけではない。ちょっとした工夫や提案の仕方などが随所に盛り込まれ、スキのない店舗という印象だ。名古屋駅西店とは明らかに違う店舗になっており、商品構成比なども異なるため、カニバることはなさそうだ。
JRゲートタワー自体の注目度も非常に高く、ビックカメラが入る9階からレストラン街の13階までが第一期開業。これからアパレルショップが多数入る下層階もオープンすると、女性客を中心として多数の来店客が期待できる。
売り場を見る限り、駅を挟んだ2店舗体制に懸念を抱いたのは杞憂だったようだ。