【第3回】最寄り品の販売 SDカード編 お客の疑問を解決 接客強化でリピーター獲得

パート、アルバイト、新人のためのスタートアップ講座 第3回・最寄り品の販売 SDカード編 お客の疑問を解決 接客強化でリピーター獲得


パート、アルバイト、新人のためのスタートアップ講座、第3回では、「最寄り品の販売 SDカード編」をお届けする。SDカードは規格やスピードクラスなどの分類があり、販売員にとってもお客にとっても、ややこしいと思われがち。本編では、まずはここだけ覚えようというポイントを紹介する。より詳しい商品情報を知りたい場合は、商品情報コーナーの「SDカードの基礎知識と売り場づくり」を読んでいただきたい。

SDカードはセルフ商品?

お客が家電量販店でSDカードを購入する際、売り場が二か所ある。ひとつは、デジカメの実機のすぐ近く。「オススメのSDカード」として展示されていることが多い。もう一つは、SDカードコーナー。各社の商品がフック掛けで展示されている。

前者は、デジカメの購入者に併売するための売り場。展示してあるSDカードがなぜお勧めなのかという説明とともに、SDカードについての知識も得られる。つまり、お客を迷わせないような工夫がされている売り場。

デジカメコーナーでSDカードを訴求するパネル(画像はヨドバシ梅田のデジカメコーナー)

後者は機器との連動がない場合がほとんどで、基本的に売り場はセルフだ。家電量販店のSDカードの品揃えは充実している。お客は選択の余地が生まれる反面、迷ってしまう売り場と言える。

各社の商品がフック掛けされたSDカード(画像はコジマ×ビックデジカメ ベルクスモール浮間舟渡店 オープン時)

そこで販売員の出番。先述のように、SDカードには規格や分類の種類が複数あり、よく分からないというお客が多い。しかし、店頭で販売員に説明されると、意外にすんなりと理解することができるのだ。

SDカードの売り場の場所を聞かれた時や、商品の前で迷っているお客を見かけた際は、「なにか疑問点やお困りごとなどございますか?」と声掛けをしたい。

お客は、自身の迷いを晴らすために向き合ってくれた販売員には、また接客してもらいたいと思うもの。お客の疑問や不安の解決が、店舗のリピーター化や新規の顧客獲得につながる。

まずはこれだけ!SDカードの基礎知識

SDカードとは、多くのデジカメで使用されるメモリーカードのこと。“基本のき”として最初に抑えておきたいポイントは、①SDカードを入れるホスト機器との互換性、②容量、③数字や記号の見方の3点だ。

①ホスト機器との互換性

接客する際にまず気を付けなくてはいけないのが、デジカメやデジタルビデオカメラなどの撮影機器(ホスト機器)との互換性。お客が持っているデジカメに対応するカードでなくてはいけない。その情報はホスト機器の取り扱い説明書やカタログ、デジカメ本体に記載されている。

ホスト機器に記載された対応SDカード

例えば上のデジカメの場合、SDXCと書いてある。下表を見ると、他のSDカードにも対応していることが分かる。

上位互換で、SDXC対応の機器の場合3つの規格全てが使える

ホスト機器に合ったSDカードのタイプが分かったら、その中からさらに絞り込んでいく。その際のポイントは、“大は小を兼ねる”だ。

容量やスピードなど、最適なSDカードを選ぶ基準となる指針の種類はいくつかあるが、すべて数字が大きいものを選択すれば間違いない。デジカメの持っている性能を十分に享受するためには、最低基準を満たしたSDカードを持つことが大切だからだ。

②容量

容量には上の表の3つのタイプがある。しかし、まず覚えるのは前述の互換性の部分だけで良い。お客に規格の説明をするよりも、撮影シーンや用途に応じた容量のSDカードをオススメすることが肝要だ。

下表はデジカメの撮影枚数の目安。

JPEGの高画質モードで撮影した場合の目安枚数※

どの容量を購入したらよいかわからないお客には、用途をヒアリングしよう。旅行で撮影した写真を保存したい場合には、日帰りか泊まりか、泊まりならば何泊するのかなどだ。

 

写真撮影は、旅行以外にも、入学式や運動会などの子供のイベント、結婚式、ペットの撮影等、用途はさまざま。デジカメを使う当日に容量がいっぱいだと気づくこともある。容量は大きいサイズをオススメしておけば間違いないだろう。

宿泊数で分けた容量の目安

デジカメで動画も撮影する人が多い昨今、SDカードのシェア1位のサンディスクが提示するデータ量の目安は、16GBのSDカードの場合、【フルHD動画を約30分撮影(12GB)、写真は1800万画素クラスのデジカメで約380枚(約4GB)】。長時間連続で動画撮影をしなくても、10分の動画を3回撮影すれば30分になってしまう。動画撮影の場合も、容量の大きいサイズをオススメしよう。

③数字や記号の見方

容量の他にも、バスインターフェーススピードや読み書きスピードと、規格や用途がある。しかし、まずはパッケージの見方さえ分かっていれば、お客の質問にある程度は答えられる。以下、それぞれの番号について解説をする。

(1)容量の規格。ホスト機器に対応したものを選ぼう。

(2)(1)容量のタイプを示すマークの右側にⅠ、Ⅱと表記されているのが、バスインターフェーススピード。現在はⅠとⅡがあり、撮影時やPC転送時にデータを送る “伝送路の大きさ”を表している。数字が大きい方(Ⅰ<Ⅱ)が伝送路は大きく、一定時間にたくさんのデータを送ることができる。

(3)連写撮影の際に、撮影した画像をデジカメ内のバッファメモリーからSDカードに書き込むスピード。

(4)動画撮影時に撮影した画像をデジカメ内のバッファメモリーからSDカードに書き込むスピードの規格。【フルHD動画撮影の場合はU1/クラス10以上】、【4K動画撮影の場合はU3以上】が推奨されている。

(3)(4)は撮影時に関わるスピードのこと。最低基準に達していないタイプを選ぶと、デジカメの性能を十分に引き出せない。例えば、連写撮影の際、SDカードの性能が追い付いていないと、連写している途中からシャッターを押せなくなることもある。また、動画ではカクカクとした映像になったり、音が途切れたりしてしまうケースもある。

(5)デジカメからPCに撮影した画像や動画を転送する際の速度。データ転送に時間がかかってイライラした経験のある人は少なくない。こちらも速い(数字の大きな)ものを選びたい。

SDカードの価格差のワケ

SDカードは、容量が大きいもの、スピードが速いものの方が価格は高くなる。しかし、同じスペックでもメーカー間でかなりの価格差がある。

その理由は、信頼性。

価格だけを選択基準にして安易に安価なSDカードを選ぶと、例えホスト機器に合ったSDカードを選んだとしても、下画像のような事態が起こり得る。

カードが原因で保存ができないこともある

SDカードは思い出などの貴重な情報を保存しておくもの。データを損失したら二度と戻らない。「価格は信頼の証」。多くのホスト機器との互換性が高く、耐久性も良い。大切なデータを保存するからこそ、高品質なSDカードをオススメしよう。

※一社 日本写真映像用品工業会発行「写真・映像 用品年鑑2017」より