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バッファローがデータ復旧ビジネスに参入 容量に関わらずデバイス単位の固定料金を提示


外付けHDDドライブの販売で国内No.1のシェアを持つバッファローは、2017年5月1日からバッファローの製品とブルーレイやDVDの光メディアに関して、消失・破損したデータの復旧事業をスタート。このほど復旧事業についての発表会を開催した。

保存したデータは永久にあるわけではない

手書きの紙原稿はWordなどの文書作成ソフトを使用したデータに変わり、写真も印画紙プリントからデータへと変化。あらゆるものが実際の形のないデータとなって保存されている。保存する場所としてはクラウドもあるが、特にパーソナルユースの場合はハードディスクやUSBメモリー、SDカード、光ディスクなどが利用されている。

各種のストレージに保存しているからデータは永久に安心と考える消費者は多い。しかし、実際はそうではない。外付けハードディスクやハードディスクが内蔵されている機器を落としてしまったり、衝撃を与えてしまったり、水をこぼしてしまったりというとで、データは消失してしまう。また、誤って消去してしまうケースもあるし、機器の異常でデータが失われることもある。失われたデータは二度と戻ってこないのだ。

個人・法人を問わず、あらゆるものがデータ化されている

長年、ハードディスクなどのストレージを販売してきたバッファローは、自社製品についてお客に安心して利用してもらうことを考え、データ復旧事業に参入することを表明した。

データ復旧事業参入でさらなるシェアアップ図る

6月2日、バッファロー東京支店で行われた事業発表会で登壇したメルコホールディングスの斉木邦明専務取締役は事業参入の背景について、「これまではデータ復旧までは手が回らず、お客様に対しては必ずバックアップを取って下さいという言ってきただけでした。現在、バッファローは外付けハードディスクでシェアNo.1メーカーとなっていますが、改めてユーザーの支持を得ることで、さらにシェアアップを図ろうと考えました」と述べた。

データ復旧事業参入の背景を説明するメルコホールディングスの斉木邦明専務取締役

バッファローの親会社であるメルコホールディングスでは経営理念として「千年企業」「顧客志向」「変化即動」「一致団結」の4つを掲げている。斉木取締役はデータ復旧に対応してこなかったことに対して「顧客志向を忘れていました」と述べ、データ復旧事業は、「直接的な利益貢献につながらなくても、トータルでの利益貢献になればよい」との考えを示した。

斉木取締役に続いて登壇したバッファローの和田学取締役データストレージソリューション事業部長は「お客様にとって大事なのはハードディスクではなく、その中のデータ」と話し、情報のデータ化が進んでいる現状を説明した。

ストレージの大容量化が進むことによるデータ消失の危険性を説明するバッファローの和田学取締役データストレージソリューション事業部長

また、ハードディスクの大容量が進んでいる状況にも言及。「500GBのハードディスクの容量がいっぱいになり、1TBに買い替えるというメディアコンバートが起きています。しかし、例えば3TBのハードディスクをデータでいっぱいにするのは難しく、(長期間使用により)新しいハードディスクに買い替える、買い足すというタイミングを逃しています。ある調査会社のデータによると、4年を経過したハードディスクの正常稼働率は急激に低下し、6年ほどで約半分のハードディスクが正常に稼働しなくなっています」という。

大容量化の進展がデータ消失のリスクを高める要因となっている
4年を経過したハードディスクは急激に故障が増え、6年で稼働率は半分に

データ復旧需要は依頼件数の2~3倍

2014年の国内でのデータ復旧依頼件数は約8万件。復旧に成功したのは6万5,000件ほどで、約2割のデータが復旧できずに消失しているとのことだ。依頼をしていない、あるいはデータが復旧できることを知らないために結果としてデータを消失しているお客は推定で依頼件数の2~3倍にのぼるといわれている。

2014年のデータ復旧依頼件数は約8万件

これらのお客に対して、国内の外付けハードディスク市場で約半分のシェアを占めるバッファローは、「データの復旧をすることで、大切な思い出を失っていただきたくない」という思いも含めて、データ復旧に取り組むことを決めたと和田取締役は説明した。

データ復旧における現状の課題とは、主にお客が感じる不安感で、大別すると3点。それは、①復旧のための価格が復旧業者によって不均一で、不明瞭という不安、②個人情報やプライバシー情報が入ったデータを全く知らない業者に渡す不安、③実際に復旧できるのかという不安、の3点だ。

保証期間内の軽度論理障害は無償対応

このようなお客の不安感を払拭し、安心してデータ復旧を依頼してもらうため、バッファローでは6つの特長を打ち出した。①保証期間内の軽度論理障害は無償対応、②有料の場合も固定料金対応、③見積り・診断が無料、④東名阪の3拠点で常駐の技術者が迅速に対応、⑤個人・法人を問わず対応、⑥これまでのバッファロー製品も対象、の6つである。

お客の不安感を取り除き、安心して依頼ができるようなメニューを構築

さらに今後も、クラウドを利用した故障予測サービスの今年度中の提供や東名阪以外の拠点拡充、個人情報が入ったストレージの廃棄サービスの提供、などのメニューを広げていく予定である。

ちなみに、データ復旧業者の料金体系がブラックボックスとなっている点について、斉木取締役は「データ復旧の団体はいくつかあるが、料金の透明化のために、できれば統一していきたいという気持ちはあります」と述べ、「半年以内には具体的な話ができると思います」と含みをもたせた。

すでに5月からデータ復旧事業を開始しているが、見積りに対する成約率は約6割とのことだ。前述のとおり、復旧業者によって見積り料金は異なり、依頼者が想定していた以上の見積りとなることも多い。そのため、見積りに対する成約率は非常に低いのが現状。約6割の成約率というのは、固定料金の提示が奏功していると推測できる。

では、これまでデータ復旧という事業を行っていなかったバッファローにとって、復旧作業のための設備や技術、ノウハウを、どのようにして手に入れたのか。

データ復旧のパイオニア企業を子会社化

その答えが、親会社のメルコホールディングスによるアドバンスデザイン社の子会社化である。アドバンスデザイン社はデータ復旧で22年間の実績を誇る企業。アメリカの大手ハードディスクドライブメーカーであるシーゲイト・テクノロジーと技術・業務提携をしている。

全国4カ所に受付窓口を持ち、重度の物理障害にも対応できるシステムを備えたアドバンスデザイン

2017年2月16日にメルコホールディングスはアドバンスデザインの発行株式の66.7%を取得。3月6日には残りの全株式を株式交換で取得して、アドバンスデザインを完全子会社化し、アドバンスデザインはメルコホールディングスのグループ会社となったのだ。

このアドバンスデザインの持つ技術やノウハウが、バッファローに転用され、新たにスタートしたデータ復旧事業に活用されるという図式である。実際にバッファローでデータ復旧を担当する技術者は、半年前からアドバンスデザインの技術研修を受けているという。また、技術的に復旧が難しい重度の論理障害やクリーンルームでの作業が必要となる中度以上の物理障害はアドバンスデザインの拠点で復旧作業が行われる。

「常に意識してきたのは、よい技術を持つこと」と話すアドバンスデザインの本田会長

アドバンスデザインの本田正会長は、「データ復旧事業を展開するうえで常に意識してきたのは、よい技術を持つということ。そのための設備や装置のアップグレードも行ってきました」という。

メルコグループとしての今後の関わり方については、「お客様のデータを守り続けることで、お客様のバッファローに対する信頼度アップに貢献していきたい」と話す。

バッファローが行うデータ復旧は、光ディスクを除くバッファローの製品が対象。しかし、アドバンスデザインはバッファロー以外のメーカー製品についてもこれまでデータ復旧対応を行ってきた。アドバンスデザインはメルコホールディングスの子会社となったが、他社製品については従来どおり対応していくという。また、将来的にはバッファローのデータ復旧事業でも他社製品の取り扱いも考えているとのことである。

データ復旧の対応製品。光ディスク以外は自社製品を対象としている

持ち込みは30分~1時間で見積り提示

バッファロー東京支店内に開設したデータ復旧センターでは、送られてきたストレージやお客が直接持ち込んだストレージの復旧対応を行っている。持ち込みのケースでは、まず受付でストレージの情報や症状などを直接、お客からヒアリングをする。

作業ルームでは個人情報ということもあり、間違いが一切ないようにストレージに番号を付けて管理。次に初期診断に移り、いわゆるストレージの健康診断を行う。論理障害なのか物理障害なのか、3段階に分けた障害レベルのどのレベルなのかを診断して、その診断結果と見積り金額をお客に提示する。この間、お客への見積りに要する時間は約30分~1時間という。

この診断時に、そのまま復旧センターで対応できるか、アドバンスデザインでの対応になるかも判断する。復旧センターで対応できるものについては、お客のストレージからクローンを作成するクローニングを実施。復旧作業自体はこのクローンを使って作業をし、ここから抽出・スキャンをして必要なデータがあるかを確認する。復旧できるデータは復旧用のストレージに保存してお客に届けられる仕組みだ。

初期診断で修復可能となれば、クローンディスクを作成して復旧作業に入る

外付けハードディスクドライブに代表されるストレージに保存しておけば、データは大丈夫と考えるお客は少なくない。いや、少なくないというよりも、ほとんどのお客が大丈夫と考えているのではないだろうか。しかし、現実は違う。使用後6年を経過すると、正常な稼働率が半減することなど、お客は全く知らないであろうし、ハードディスクドライブ自体が精密機器であるという認知も低いのではないか。

そのようなお客の傾向に対し、メーカーであるバッファローがデータ復旧事業を通してデータ保存の重要性を啓蒙していくことは、大きな意味があるといえよう。また、データがなくなって諦めていたお客にも、消失したデータは復旧できると伝えることは、顧客の困りごとを解決するソリューション提案そのものである。これを機に、店頭ではお客に対するデータ復旧提案に取り組んでみてはいかがだろうか。

本項では、保存したファイルなどをデータと称したが、気をつけなくていけないことが一つ。地デジの録画番組のように著作権保護のためのコピーワンスなどの制御がかかっているデータについては、復旧が不可である。お客からの問い合わせについては、ここを忘れずに伝えたい。

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