「置けるスマート大容量」WX、JX、Bの3シリーズは次のとおり。ガラス扉のWXシリーズには、高さが低いロータイプモデルを新たに追加した。
新製品ポイントは、「野菜室」と「省エネ」
今回の新製品「WXシリーズ」のポイントは、「野菜室の使い勝手の向上」と「断熱材や冷却ユニットの改良による高い省エネ性能」の2つだ。
同社では、昨年から3色のLEDで保存中の野菜のビタミンを増やす「朝どれ野菜室」を搭載している。同社のユーザー調査によれば、2016年度商品の購入決定ポイントは、「置けるスマート大容量」が59%、「氷点下ストッカーD」が54%、「朝どれ野菜室」が46%と、「朝どれ野菜室」の評価が高いことが伺える。
新製品では、「ハイブリッドナノコーティング」を施した抗菌トレイを野菜室底面に採用。汚れの付着を抑制するので、付いた汚れを落としやすくした。LEDの効果で光合成の活性化と栄養生成を促すという特長に、さらにお手入れ性能を向上させることで他社製品との差別化につなげる。
発表会では、玉ねぎの皮やチャーハンの素を使った実演が行われた。チャーハンの素は野菜くずや油分も含むので、汚れのサンプルとして分かりやすいそうだ。
掃除の際は、トレイのみを外して水洗いか水拭きしたあと、から拭きをすればよい。強くこすったり、アルコール類で拭き取ると、コーティングが剥がれることがあるので注意が必要だ。コーティングは通常使用で10~12年効果が持続するという。
販促の中心は野菜室
同社の営業担当者に今後の販促について聞くと、TVCMなどでは「朝どれ野菜室」を中心とした内容にするとのことだ。カタログでも表紙にサラダを作っている写真を掲載し、野菜室をアピールしていく。
高性能真空断熱材などを採用
新製品の特長の2つめは省エネ性能だ。容量517Lの「MR-WX52C」では、250kWh/年でエネNo.1を達成している。具体的な改良点は3つだ。
1:薄型断熱構造「SMART CUBE」の採用により、断熱性能をさらに向上
2:「高効率冷却ユニット」の採用により、庫内冷却の冷却ロスを抑制
3:高効率制御「NEW MICLOSS(ニューミクロス)」を搭載し、圧縮機のオン/オフ時に生じる電源ロスを削減(MR-WX52C/60Cのみ)
続いて冷却ユニットの改良。冷蔵庫は、圧縮機で高圧/低圧の状態を作り、冷媒の液化、気化の状態変化を繰り返すことで冷却器を冷やし、冷やされた冷却器を通過した冷気が冷蔵庫内を循環することで庫内が冷えるという仕組みになっている。
新製品では、冷却器の両サイドに「エアガイド」を設置することで、冷却器中央部分の通風量を増やした。冷却に戻ってくる冷気の冷却ロスを抑制することで、冷却能力を向上させた。
3つめの改良点は「NEW MICLOSS」。冷蔵庫を冷やすためには、圧縮機を高圧と低圧の状態にすることが必要だというのは前述の通り。実は、圧縮機が停止していても、冷媒が冷却器に流れ込むため、圧力の差が徐々になくなっていく。圧力差がなくなると、冷却器の温度は上昇してしまう。再び圧縮機が動き出すと、圧力差がない状態から高圧と低圧の状態を作り出すため、負荷がかかり電力ロスが発生する。
そこで、新製品では圧縮機が停止している際は、制御弁で冷媒の流れ込みを抑え、圧力差を維持する。これにより、再運転時の電力ロスを削減した。さらに、冷蔵室、製氷室、瞬冷凍室、野菜室の4つの部屋に、目標温度と実際の温度の差を検知し、風量調節装置をきめ細かく制御する方式を採用。これらの工夫により、省エネ性能を改善した。
省エネは「細かいところにもこだわっている」というトークを
買い替え客の間では、新しい冷蔵庫にすれば省エネになるのは当たり前と思っている人が多い。また、仕組みが難しいこともあり、省エネについては「新しいので省エネです」「10年前と比べると電気代がかなりお安くなります」というように簡単な説明で済ませる販売スタッフが多い。また、省エネ達成率の基準が変わったことで、アピールがしにくくなったという声も聞かれる。
三菱の冷蔵庫の接客では、「全室独立設計」を接客のポイントに置くことが多い。部屋ごとにセンサーを配置して無駄なく冷やす、水への臭い移りがしにくく、おいしい氷が作れる、細かい温度管理が重要な「切れちゃう瞬冷凍」ができるなど、独立設計のメリットは多い。
さらに、省エネ達成のために前述のような工夫を施しており、「細かいところまで配慮した冷蔵庫」「技術力が詰めこまれ、調理を楽にする冷蔵庫」という流れで商品の説明をすると良さそうだ。