家庭用EMS機器市場、拡大中!
いつでも気軽に効果的にトレーニング


家庭用EMS機器市場が活況だ。昨年から参入メーカーが増え、ラインナップも拡充してきている。市場およびユーザー動向と、新製品を相次いで発売したエレコムとマクセルの製品特長を紹介する。

日本人の7割が運動不足を実感。実情と理由とは

スポーツ庁健康スポーツ課は2016年11月、全国の18~79歳の男女約2万人を対象に「スポーツの実施状況等に関する世論調査」を実施。回答者の約7割が運動不足を感じているなど、深刻な実情が浮き彫りとなった。運動不足を感じているのは男性に比べて女性が多く、30~40代の女性では実に85%以上が運動不足を認識していることがわかった。

スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」2016年11月実施より(以下は回答者数(人)。全体=20000、男女20代=2655、男女30代=3279、男女40代=3834、男女50代=3193、女性20代=1294、女性30代=1608、女性40代=1890、女性50代=1595)

この1年間の運動実施率では、「運動やスポーツはしなかった、わからない」人が36.5%と非常に高く、回答者の3分の1以上が運動不足であることが分かった。

スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査」2016年11月実施より(n =全体 20000、男=9932、女性=10068)

では、運動不足になっている背景はなんだろうか。実施阻害要因としては、「仕事や家事が忙しいから」(32.8%、複数回答)と「面倒くさいから」(24.0%、複数回答)が1、2位となっている。運動不足の背景には、「時間」と「運動への意欲」が足りないことが大きな理由となっているようだ。

EMS機器でトレーニングの時間と労力を大幅削減

そこでいま注目されているのが家庭用EMS機器。参入メーカーの増加と商品ラインナップの拡充とともに市場は急激に伸長しており、同機器に対する需要の高さを表している。

EMS市場は急激に伸びている(日立マクセル新製品体験会資料)

そもそも、家庭用EMS機器とはなんだろうか?一言でいえば、「ラクしてトレーニングができるフィットネス機器」だ。人間が運動をする際、脳から各部位に「運動をする」という指令を送らなければならない。そこには運動することへの「能動的な意思」が必要だ。さらに、物理的に体を動かさなくてはいけないので、疲れるし時間もかかる。

運動時の仕組み
本人の意思
「運動する」…脳から各部位に指令が出る。能動的な意思が必要

本人の行動
「運動する」…脳からの指令を受け、実際に体を動かす

しかし、家庭用EMS機器は、EMS機器を体に取り付けるという、服を着るのと同じくらいの自然な動作をするだけで、電気が筋肉を直接的に刺激する。運動を実際に始めるまでの精神的および肉体的な面倒くささを低減し、動かなくてもトレーニングができる。さらに、テレビを見る、家事をするなどの、“ながら”でのトレーニングが可能。まさに、先述したような日本人の運動不足の元凶となっている時間と、運動への意欲のハードルをクリアしているのだ。

EMS機器での運動の仕組み。自己流の運動で筋肉を傷めたり、効率の悪い運動をすることを避けるという利点もある(日立マクセル新製品体験会資料)

店頭では、まず認知を促すことが肝要だ。店頭の入り口やエスカレーター前、レジ付近にアイキャッチのための展示をして注目を集め、さらに家庭用EMS機器がなにか、仕組みをパネルやPOPで表すなどして、お客に気づきを促したい。

家庭用EMS機器は、体に電気を通すということから、痛みはないか、どのような感覚になるのかと不安感を持つお客もいる。実機を置いて腕などで体感してもらい、不安や疑問を取り除こう。

各社の最新機種

7月、2社から発売された家庭用EMS機器の新製品は、先述のように男性よりも運動不足を感じている女性にターゲットを絞っている。

エレコム「エクリア リーン」

エクリア リーンをしながらストレッチをすると、より効果的にトレーニングができる。ストレッチのおすすめポーズを紹介した「キレイをつくるエクササイズブック」が同梱される

一般的にマッチョと言われるような筋骨隆々の身体ではなく、「女性らしい、細くてしなやかな身体を目指せる」EMS機器。前者と後者では、鍛える筋肉が違う。前者は「速筋」、後者は「遅筋」を鍛えることで作られる。遅筋トレーニングには、最適な周波数がある。

さらに、筋肉にまで電気を通すためには、脂肪を通過しなくてはいけない。皮下脂肪は電気を通しにくいため、その厚みによって筋肉に届く電気の周波数が異なる。

そこでエクリア リーンは、皮下脂肪の厚さに応じた周波数(2000~5000Hz)と遅筋に直接働きかける周波数(20~30Hz)を組み合わせた4つの部位別モードを搭載。ユーザーの体型や部位に応じたトレーニングが可能だ。強さの調節も15段階と幅広く、その日の体調等によって変えられる。

モード別の周波数の組み合わせ

日立マクセル「もてケア ウエスト&ヒップ」

「もてケア」の従来タイプ(右の二機種)と新製品の「もてケア ウエス

昨年11月から発売していたEMS機器「もてケア」シリーズに新ラインナップが仲間入り。20~60代の女性を対象に同社が行った、「健康美容機器を使ってシェイプアップしたい身体の部位」調査で上位にランクインした「ウエスト」と「ヒップ」に特化した、「理想の美尻、クビレ」づくりをサポートするEMS機器だ。

6つの電極パッドを組み込んだ特長的な形状で、ウエストとヒップを同時にトレーニングすることが可能。肌に触れた時に違和感のないように柔らかい素材を採用している。

モードは「ウエスト&ヒップ」、「ウエスト」、「ヒップ」の三種類。筋肉が電気刺激に慣れることのないように、20分のプログラム中に15ステップのトレーニングパターンと15段階の強度レベル、段階に応じた複数の周波数を組み入れ、常に効果的なトレーニングができるようにしている。