有名シェフの料理が自宅で調理できる! シャープは「ヘルシオデリ」で食材宅配サービスに参入


9月26日、シャープは『食材宅配事業』への新規参入に関する発表会を開催した。新しいサービスの名称は「ヘルシオデリ」。提携企業と組んで、ヘルシオ専用の料理キットを宅配サービスとして提供するものだ。ヘルシオに搭載したCOCORO KITCHENを活用し、自宅にいながら有名レストランの味が楽しめる。単なる食材の宅配にとどまらない、異業種との連動も含めた新たな取り組みだ。

調理家電でAIoTを進めるシャープ

“人に寄り添うIoT企業”を標榜し、新規分野への参入を加速しているシャープ。機器やソフトの進化とともにIoTにAIを加え、AIが担う最適な提案により、スマートライフの実現を目指している。

現在、エアコンや冷蔵庫、テレビ、ヘルシオなど6つのカテゴリーで、機器とサービスとプラットフォームからなるAIoT化を推進中だ。

今回、このカテゴリーの中で発表されたのはヘルシオを活用した新規ビジネス。ヘルシオは調理家電としてAIoT化を進めており、クラウドサービスであるCOCORO KITCHENとつなぎ、アプリを活用すれば音声対話による調理アシストやメニュー検索などのサービスが受けられる。2017年10月26日に発売予定の水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」も新たに無線LAN対応とし、COCORO KITCHENのサービスが受けられる仕様になっている。

調理家電でAIoT化が進むシャープのヘルシオシリーズ

ネット接続対応機器とプラットフォーム、そしてサービスの3要素が揃っているヘルシオで、新たなサービスとして提供するのが、「ヘルシオデリ」という名称の食材宅配ビジネスである。この“デリ”は、Delicious(美味しい食事)、Delivery(自宅に届く)、Delicatessen(惣菜のような手軽さ)の頭の4文字に共通するワードということで命名したという。

「ヘルシオデリ」は調理家電と食材の宅配サービスを組み合わせた新サービス

発表会で登壇した同社の長谷川祥典専務執行役員スマートホームグループ長兼IoT通信事業本部長は、「当社はAIoTを表明して以来、キッチン向けAIoT家電を順次発売してきた。2016年9月に音声で献立相談ができるヘルシオを発売し、2017年8月には第2弾となるモデルを発売。この10月にはAIoT対応のホットクックも市場投入し、COCORO KITCHENのサービスを拡張させてきた」と、ヘルシオのAIoT化の推進状況を説明した。

登壇したシャープ専務執行役員スマートホームグループ長兼IoT通信事業本部長の長谷川祥典氏

異業種のぐるなび、タイヘイと協業

現在、食品宅配市場は堅調に伸長し、その市場規模は2兆円ともいわれている。長谷川氏は、「今回のサービスのターゲットは、食品宅配市場の中でも急速に伸びているカット野菜や料理キットの宅配などで、その規模は約2,000億円と考えている」とのことで、今回の新しいサービスでは、調理家電とレシピ、食材が連携したエコシステムを構築したと話す。この連携は業界同士の連携ということでもあり、家電業界と外食業界、食品業界が連携することで、内食の新しい価値提案を打ち出すとしている。

異業種との提携で「ヘルシオデリ」のプラットフォームを構築

提携企業としてパートナーシップを組んだ外食業界は、グルメサイトの「ぐるなび」。同サイトの加盟料理店のシェフが監修し、宅配メニューのレシピを開発する。食品業界では1970年代から「ファミリーセット」の名称で、一般家庭を対象として食材も揃えた献立メニューの宅配事業を行ってきた「タイヘイ」が、食材の調達や加工を担う。

「ヘルシオデリ」の特長は3つ。①人気シェフ・有名料理研究家による厳選メニューが食材も含めて宅配で送られてくる。②「ヘルシオ」に食材を入れてボタンを押すだけで、本格的な料理ができる。③無線LAN対応モデルであれば、本体にメニューデータの配信や商品の配送状況が音声で通知される、というものである。

IoTを駆使することで、ユーザーへの新しい提案が実現できる

注文は専用ECサイトやフリーダイヤルの電話で申し込む。現段階では週末での調理・食事を想定しており、前週の月~金に注文をする仕組みだ。メニューは、日本料理はもちろん、フランス料理、中華調理、韓国料理やベジタリアン向け、カレーも揃えている。前述のとおり、ぐるなびでお客の評価が高いレストランのシェフがヘルシオで調理することを前提としてメニューを開発している。

現段階では週末の食事を想定した注文スケジュールとなっている
「ヘルシオデリ」の料理キットは、このような形で届けられる

メニューのレシピがクラウド経由で自動追加

これまでの食材宅配サービスとの違いは、レシピデータがネットを通じて配信され、ヘルシオのメニューとして追加が可能な点と、クラウドを通してユーザーの食事履歴や好みなどがメニューを開発するシェフにもフィードバックされ、さらに新しいメニュー開発に活かせるという点だ。

また、送られてきた料理キットは、単に温めるのではない。ヘルシオのトレイに入れて、過熱水蒸気で焼いたり、蒸したりと、ヘルシオが実際に調理をするのだ。ホットクックもしかりだが、調理方法がヘルシオとホットクックでは異なるので、それぞれ専用のメニューとなっている。ただし、調理をするといってもレシピに記載された操作ボタンを押すだけである。

料理キットをトレイに入れ、指定のボタンを押すだけで調理がスタート
ホットクックも料理キットの中身を取り出して入れ、操作ボタンを押すだけ

ヘルシオだからこそ可能な「ヘルシオデリ」。サービス開始は10月19日からの予定で、2~3人分の1メニューは税別3,800円~としている。対応機種は、オーブンレンジのヘルシオがXW400、XW300、AW400、AP300、XP200の5機種。ヘルシオホットクックはHW24C、HT24B、HT99Aの3機種である。

10月19日からサービスをスタート
「ヘルシオデリ」対応はオーブンレンジで5機種、ホットクックで3機種

将来的には平日対応も想定

「2020年にカット野菜や料理キットの宅配市場の10%くらいのシェアを取りたい。スタート時は週末の調理を想定しているが、将来的には平日対応についても考えていく。また、シェフによる美味しい料理を自宅でも調理できることを一番としているが、ヘルシオの持つ健康調理という点では、美味しさにプラスして健康メニューにも取り組んでいきたい」と長谷川氏は語る。

展示された料理メニュー。和食や中華、ベジタリアンなど、バリエーションは広い

オーブンレンジの上位モデルは、料理に明るい人が使いこなすというイメージがあるが、シャープは「まかせて調理」で、ユーザーの調理をアシストし、美味しさや健康を担保しながらも手軽で時短調理を実現している。上位モデルだから簡単という訴求は、料理に自信がないお客にもアピールできるポイントだ。

上位モデルの新しい訴求として、店頭でもこの「ヘルシオデリ」という新しい宅配サービスについて紹介しよう。チルドや冷凍の食材を解凍して温めるということではない、新しい調理方法の一つとしてオーブンレンジのさらなる活用方法をお客に説明し、ランクアップを図りたい。

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