2018年度 家電需要予測・情報通信機器編
パソコンはデスクトップが減少ながらもノートは増加予想で、パソコン全体の単価はアップ
パソコン、デジカメの需要減少基調に歯止めか
情報通信機器で予測を掲載している商品はパソコン、プリンター、PCディスプレイ、外付け記録型光DD、外付けHDD、無線・有線ルーター、PCサプライ、電子辞書、デジタルカメラ、電話機、FAX、モバイルフォンなどの13商品。
家電量販店での情報通信機器売り上げは非常に大きく、現在も全売り上げの2~3割を占めている。この情報通信機器に分類されるパソコンとデジタルカメラは、いずれもスマートフォンが代替機としての機能を向上させ、ともに需要は減少基調で推移してきた。
直近では、この状況にやや変化が見られるようになってきた。パソコンでいえば、モバイル用途に適してビジネスユースでも活用の場が増えてきた2in1モデルの普及と、ゲーミングパソコンの需要増である。デジタルカメラはSNSに対応した、特にミラーレスモデルの機能進化による需要増が挙げられる。
また、情報通信機器の大きな柱の一つであるスマートフォンと携帯電話からなるモバイルフォンは、シニア層への普及拡大はみられるものの、「0円販売」の規制の影響で実質的な売価はアップ。買い替えサイクルは従来よりも長くなるとみられる。
パソコンはノートとタブレットが伸長予想
2018年度のパソコンの出荷台数は1,960万台で、前年比は101%。出荷金額は約1兆3,450億円で同103%と予想する。台数需要の約16%を占めるデスクトップは依然として減少基調だが、減少幅は小さくなる。減少が続いてきたことに対する下げ止まりと、eスポーツの盛り上がりでゲーミングパソコンのラインナップ増加が主な理由である。
台数需要で約38%を占めるノートは、2in1タイプの普及拡大により、パーソナルはもちろん、ビジネスユースとしての活用も増えている。2018年度の需要は台数で約102%、金額では約105%に伸長するとみる。
iPadも含むキャリアのタブレット販売は好調に推移しており、2018年度もこの傾向は継続するとみられるが、伸長率は台数・金額ともに2017年度比101%の微増と予想する。
ゲーミングパソコンの増加やデスクワークにおける画面領域の拡大ニーズなどからパソコン用のディスプレイは台数、金額とも増加予想。4Kやウルトラワイドサイズが増えることから、2017年度比105%の出荷台数に対して、出荷金額は同106%とみる。
家庭内LAN環境の拡大でルーター需要は伸長
家電のIoT化が進み、白物家電や季節家電もネット対応の製品が増加傾向にある。ネットの常時接続を可能にするため、無線LAN環境を導入する世帯が増え、それに連れてルーターの需要も増加。台数では2017年度比103%、金額ではセキュリティ機能搭載やビームフォーミング、複数アンテナ搭載モデルの増加で、同105%を見込んだ。
学生やシニア、あるいは語学学習用途として使用される電子辞書は、検索の容易さや映像・音声の再生も可能な点からスマートフォンに代用され、需要は減少。2018年度の出荷台数は2017年度比95%で、出荷金額も同94%と予想する。
高級コンデジ続伸ながらコンデジ全体は減少基調
スマートフォンの内蔵カメラの進化やSNSとの親和性から写真撮影にデジタルカメラではなく、スマートフォンが使用されることが当たり前となっている。デジタルカメラ全体の出荷台数も2010年度をピークに減少基調で推移。特にコンパクトタイプであるレンズ一体型の落ち込みは大きく、高級タイプ自体は伸長しているが、コンパクト全体の落ち込みをカバーするには至っていないのが実情だ。
この高級タイプでは、高画質、高速AF、高倍率ズームなどの機能が強化され、さらにスマートフォンを経由して簡単にSNSに写真がアップできるようにBluetoothやWi-Fi対応となっている。高機能、高スペックであることから当然、売価は高い。、レンズ一体型の台数需要は、この高級タイプによって2017年度比98%と減少するが、金額は同横ばいで平均単価はアップする。
ミラーレスは台数が5%、金額では2桁増に
好調に推移しているミラーレス。基本性能や搭載機能は一眼レフと比べても遜色ないモデルが増えてきた。一眼レフタイプユーザーの2台め需要として、よりキレイな画像を撮影したいというエントリー層やレンズ一体型からのアップグレード層の支持により、ミラーレスタイプは2017年度比で台数が105%、金額が同110%と伸長するとみる。
一眼レフタイプは、機能やスペックのさらなる向上が図られる。しかし、ミラーレスの機能進化により、ミラーレスから一眼レフタイプへのアップグレードは難しい。とはいえ、根強い愛好家の買い替えや買い増しによって台数は2017年度比で96%、金額は同103%と予想する。
スマートフォンは通話とデータ通信のみならず、写真撮影や動画・音楽再生、テザリングでのルーター用途など、広範囲の用途を網羅し、需要が拡大してきた。総務省の「0円販売」規制により、極端な値引き販売は不可能となり、大手キャリアはそれぞれ新たな料金プランを打ち出しているが、需要はやや下がり気味になっている。
ミドルやシニア層に支えられてきたガラケーも、買い替えを促進させる付加機能に乏しく、台数・金額とも2017年度比で2桁減になると予想。モバイルフォン全体では2017年度比で台数が96%と減少しそうだが、金額はスマートフォンの高機能化による本体価格の上昇によって2017年度比横ばいとみる。
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