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第1回4K・8K機材展が東京ビッグサイトで開催(前編)
IoT・AIと超高解像度映像が持つ可能性が社会を変える


4月4~6日の3日間、東京ビッグサイトで第1回となる「4K・8K機材展」が開催された。これに伴い各種の講演会やセミナーも行われ、多くの参加者が詰めかけた。4K8Kによる超高解像度の映像や再生技術は、様々な分野で応用が可能。登壇したスピーカーも、この4K8Kが持つ革新性に大いなる期待をしていた。本項では「4K・8K機材展」の前編として、その講演の内容について取り上げた

4月4~6日の「通信・放送Week2018」では4つの展示会が同時開催

初の開催となる「4K・8K機材展」は、やはり初の開催となる「次世代モバイル通信展」と第2回「映像伝送EXPO」、第18回の「光通信技術展」との同時開催。これらの主催であるリード エグジビション ジャパンでは、4つの展示会を『通信・放送Week2018』と総称した。

4月4日に行われた4つの展示会の合同開会式には各協賛団体の理事長や会長をはじめ、NTTドコモやKDDI、ソフトバンク、日本放送協会(NHK)、フジテレビジョン、ジュピターテレコムなどの通信・放送事業者や日本電気、富士通などのシステムメーカーの社長や役員が集結し、テープカットを行った。

通信・放送業界の社長や役員が45名参列して行われた開会式のテープカットでは、ホールに人が溢れる盛況ぶり

合同展示会では各種のセミナーや講演も行われた。「4K・8K機材展」では開催記念講演と3つの4K・8K活用セミナーが開かれ、多くの参加者がこれからの高度放送サービスの動向と、超解像度映像が活用される分野についてスピーカーの講演に聞き入っていた。

AQUOS8Kは18年度中にラインナップを追加予定

「8Kエコシステムについて」というテーマで講演を行ったのは、シャープの8Kエコシステム戦略推進室副室長の山内雄敦氏。同社が推進する8Kの超高精細映像の価値について、圧倒的な臨場感やリアリティがあり、情報量が非常に多いことから通信や放送はもとより、医療やセキュリティ、インフラ保守、検査システムなどへの活用が期待されると解説をした。

2017年8月に発表し、12月1日から発売されている同社のAQUOS8Kにも言及した。今年の12月から開始となる新4K8K衛星放送に対応したチューナー内蔵8Kテレビを開発中であり、さらに今年度中には8Kテレビのラインナップも3機種程度追加して展開していくという。

今年度、シャープはAQUOS8Kのラインナップを拡大するという。画像は2017年8月31日の発表会会場のもの

今後、IoTと8Kエコシステムを“実装”した社会として想定されるのが、3つの変化だ。1つ目は、8K内視鏡に代表されるスマートメディカル。2つ目は超高精細映像で人の識別が可能となることから警備や防犯に多大な貢献をもたらすスマートセキュリティ。そして、3つ目がインフラや工場の検査・保守を省力化しながらも効率化の大幅な進展が図れるスマートファクトリー。これらによってもたらされるのが、不安や不便の解消であると説明をした。

地上波での4K放送の研究や実験も進める総務省

5日には3名のスピーカーによって、「4K・8K高度放送サービスと他分野活用に向けた取り組み」をテーマにした記念講演が開催された。

1人目は総務省の大臣官房審議官(情報流通行政局担当)の奈良俊哉氏が講演。新4K8K衛星放送の開始に向けた取り組みや放送を巡る社会環境の変化、地上デジタル波に4K放送を乗せるための研究開発の実験や課題などを解説した。

総務省では様々な実験や検証を行い、放送の高度化を推進していくと話す総務省の奈良氏

現在の地上デジタル放送の電波は、混信等が起こりやすいエリアを除いては水平偏波だが、垂直偏波も同時に使用して地上波で4K放送も伝送する方法や階層分離多重技術を用いて2Kと4Kを同一チャンネルで伝送する方法などが調査研究として進められていると説明。また、研究者や有識者からなる周波数有効に関する検討分科会では、放送の高度化や周波数の活用のあり方について、2018年夏までに提言をまとめることになっているという。

2人目のスピーカーは日本放送協会技術局局長・副技師長の春口篤氏で、「広がるスーパーハイビジョンの世界」をテーマに講演。1月16日に発表された日本放送協会の2018~2020年度の経営計画での、5つの重点方針について説明を行った。

NHKのBS8K放送の位置づけはフラグシップチャンネル

日本放送協会が掲げる5つの重点方針の一つである「未来へのチャレンジ」では、東京五輪が開催される2020年には最高水準の放送・サービスを提供することを目標に、4K8K放送だけでなく、インターネット配信やパブリックビューイングなどの推進、AIを活用した競技分析やAR、ロボット技術の活用などを進めていくという。

日本放送協会が掲げる未来へのチャレンジ。2018-2020年度の経営計画よ

12月からの新4K8K放送の制作方針についても言及。番組を2Kと4Kで一体制作とすることや4K放送の番組についてはベストセレクションチャンネル、8K放送はフラグシップチャンネルと位置づける。8K放送では、超高解像度の映像と最大22.2チャンネルの音響で番組を制作していくと話した。

4K・8K機材店での日本放送協会のブース。ブース内では300インチの超大画面と22.2チャンネルの映像・音響による8K体験ができる

撮影機材のイメージセンサーの進化が事業領域を拡大させる

最後に登壇したソニー執行役員コーポレートエグゼクティブの島田啓一郎氏は「4K8K技術を活用してソニーが届ける感動のある暮らし」をテーマに講演。映像の高度化が提供する価値として、臨場感の拡大(没入感)、参加感の演出(コミュニティ社会)、アクセス性の向上(情報選択の高速性)を挙げた。

また、映像が高度化するということは、それを撮影するカメラのイメージセンサーも進化するということで、この進化がIoTと連携することによってさまざまな分野での活用が期待できると島田氏は述べる。それは、シャープの山内氏も言及していた医療分野やセキュリティ以外にも交通や自動車、農業、食品、建設などの多岐にわたる分野であるという。

AIの能力を最大限活かすためには先端イメージセンサーで最強の実世界情報を入力することが必要と説くソニーの島田氏

これらの講演で語られていたのは、いずれも放送の高度化や4K8Kという超高解像度の対応機器が増えることで、人々を取り巻く環境に変化をもたらすというもの。その変化とは安全や安心、利便性の向上で、IoTやAIとの組み合わせによって暮らしそのものや暮らしを支える環境自体が変わることを意味している。対応機器やシステムを開発・製造するメーカーにとっては、事業領域の拡大というメリットも大きい。

4K8Kは単に機器の進化ということだけでなく、社会を変えていくトリガーとしての役割もあるということを強く感じられた講演であった。