ルームエアコンは出荷、販売とも好調を持続 年間出荷台数は過去最高の950万台を超えるか
4~10月のエアコン出荷台数は前年同期比7.9%増
日本冷凍空調工業会(JRAIA)の統計によると、2018年4~10月のルームエアコンの出荷台数は約651万7,000台で前年同期比107.9%。出荷金額は約5,251億7,000万円で同108.7%。実績は好調で、出荷単価もアップしている。5~6月は出荷台数・金額ともに前年同期比で1ケタ台のプラスだったが、これ以外の各月ではいずれも2ケタ台のプラスとなっており、4~10月の各月で前年同月実績を下回った月はない。
4~9月の上期における出荷実績は台数が前年同期比107.3%で、金額が同107.8%だった。10月単月の出荷実績は4月以降の単月として最も伸長率が高く、台数が前年同月比118.4%、金額が同123.4%と大きく伸長した。
4~10月の年度での累計出荷台数は前述のとおり、前年同期比107.9%だったが、年度の出荷実績として過去最高の942万3,000台を記録した2013年度の4~10月の累計出荷台数と比べてみると、106.1%で推移しており、11月以降の実績によっては過去最高記録を更新する可能性もある。
家電量販店での販売台数は前年比13%増
出荷はあくまで出荷で、在庫となってしまっては意味がない。では、販売状況はどうなのか。全国の有力家電店の販売実績を集計しているGfK Japanの家電量販店での販売動向を見てみよう。
このグラフは販売台数・金額の前年同月比を示したもの。9月が突出した伸長率になっており、販売台数・金額とも前年同月40%増。10月も販売台数・金額は前年同月の20%増となっている。これを見ると、最盛期の8月の販売実績は前年並みだったが、その他の月は前年よりも伸長していることが分かる。
4~10月累計での販売実績は販売台数が前年同期比113%で、販売金額が同112%。出荷実績と異なるのは、台数の伸長よりも金額の伸長が小さいこと。つまり、平均販売単価はダウンしている。4~10月の税抜き平均販売価格は約97,000円で、前年同期よりも約1%の低下である。
東海・北陸は前年より販売台数が20%増に
エアコンは地域によって普及率が異なるが、全国の家電量販店を5つのエリアに分けて、4~10月の販売実績での前年同期比を表したものが、次のグラフだ。
販売台数の前年同期比で最も高いのが、前年比約20%増の東海・北陸エリア。その他の3つのエリアも東海・北陸ほどではないが、販売台数は2ケタ増となっている。中国・四国・九州は他の4つのエリアよりも伸びは低いが、それでも前年同期より4%増である。
気象に左右されない室内環境の改善提案
好調に推移しているエアコン市場だが、気象庁では、この冬は暖冬になりそうとの予報を発表した。これからのシーズンは暖房エアコンの提案に入る時期で、暖冬予報は好調な需要の足を引っ張ることも考えられる。
しかし、暖冬とはいえ、間違いなく寒い季節であることは確かだ。暖房訴求では、ガスや石油といった燃焼系の熱源を持つ機器に対する安全性や空気を汚さないエアコン暖房のメリットを伝えよう。
これに加えて、温風が身体に当たらずに足元を暖める気流制御を搭載した機種が増えている。また、各種のセンサーにより、室内がより快適になるような温度コントロールや人がいなくなると自動でパワーをセーブする機能、室内の人によって異なる風を吹き分ける機能などを搭載している機種もある。
昨今、エアコンクリーニングの需要が増加しているようだが、本体内部を清潔に保つ機能を搭載している機種も多く、室内の空質を整える空清機能では単体の空気清浄機と同等の能力を有する機種もある。
つまり、単に寒いからエアコン暖房ということではなく、今のエアコンは空質環境の改善や現在よりも快適な温度コントロールができることでの付加機能訴求をしやすくなっている。これが高付加価値提案につながり、単価ダウンを回避する策にもなる。もちろん寒さに対しても速暖性は強化されているので、暖房での訴求も十分に可能であることは言うまでもない。
ここまで好調に推移してきたエアコン市場。天候に左右されることなく、需要を増加していくためには、この時期だからこその丁寧な商品説明が求められる。個々のお客のニーズをしっかりと接客で聞き出し、お客の買い替え意欲を高める提案を行おう。