ヤマダ電機の2020年3月期連結決算は増収増益 営業利益率や経常利益率が大きく改善


5月7日、ヤマダ電機は2020年3月期の決算短信を発表した。2020年3月期は下期から導入された消費税の増税が業績にどのような影響を与えるかが懸念されていた。しかし、ヤマダ電機の2019年度は特に利益ベースでしっかりと実績を残した。

連結売上高は微増だが、粗利益額は前年比4.5%増

ヤマダ電機の2020年3月期の連結売上高は1兆6,115億3,800万円で前年比100.7%の増収となった。売上高を半期別で見ると、上期は前年同期比106.3%で、下期は同95.2%。下期に入ると市場環境が非常に厳しくなったがトータルでは前年比微増で着地した。売上総利益は4,606億5,200万円で同104.5%と伸長した。売上総利益率は28.6%。前年は27.6%で、1.0ポイントの改善となった。

直近5年間の推移を見ると、同社が取り組んできたさまざまな施策が実績面に反映されるようになってきたことが分かる

販売管理費は前年比102.2%と増加し、売上高販管費比率も前年から0.4ポイントプラスの26.2%に増えた。しかし、売上総利益額の増加率よりも販売管理費の増加率が低かったため、営業利益は前年よりも大きく増加している。

営業利益額は前年比37.5%増で営業利益率は0.6ポイント増の2.4%

営業利益額は383億2,600万円で前年比137.5%と大きく伸長。売上高営業利益率は2.4%で、前年から0.6ポイントのプラスとなった。

営業利益は前年よりも大きく伸長したが、過去のレベルからすると、まだ伸び代はある

営業外収益は前年実績の96.2%と減少し、営業外費用は逆に109.8%と増加した結果、営業外収支は前年実績の85.9%とマイナスに転じているが、営業利益額の大きな伸びもあり、経常利益額は460億7,400万円で前年比124.9%と伸長し、売上高経常利益率も前年より0.6ポイント増の2.9%となっている。

経常利益額も営業利益額と同様、さまざまな経費のコントロールでさらなる実績アップが期待される

また、特別利益は前年の4倍以上に伸長し、逆に特別損失は前年よりも微減となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は246億500万円で前年比167.5%と伸長した。

総資産は減少したが負債も減少し、純資産額は前年より9.1%増

一方、BSについてみると、流動資産、固定資産とも前年実績を下回り、総資産額は前年比98.3%と減少。負債では長期借入金の増加により固定負債が前年比140.9%と増加したものの、1年内償還予定の社債の権利行使による自己株式の処分や短期借入金の減少などで流動負債が前年比で約70%と減少。その結果、負債は資産より減少額が大きく、純資産額は6,451億6,600万円で、前年比109.1%。自己資本率は4.9ポイント増の54.6%となっている。

ヤマダ電機の2020年3月期連結決算を見ると、厳しい市場環境にも関わらず、確実に利益を上げられる体質になってきていることが分かる。住宅関連ビジネスの強化やSPA商品の取り組みなど、目に見える部分では「暮らしまるごと」提案が実効性を持ってきたといえそうだ。

大きな話題となった大塚家具の子会社化では、大塚家具での家電販売もスタートしている

また、目には見えないが2020年3月期下期から採用した利益率改善を追求するための13支社による支社制度も利益率の改善に大きな貢献を果たしているといえるだろう。

だが、現在進行形で推移している新型コロナウイルスの感染拡大は実商売に大きな影響を与えていると同社では言及。そのため、2021年3月期の連結業績予想は現時点では未定としている。同社では今年度下期からホールディングカンパニーへの移行を表明しており、今後の同社の展開に注目したい。

販売管理費をいかにコントロールしていくかが利益面の実績アップにつながる