エディオンの2020年3月期連結売上高は前年比2.1%増 販売管理費の増加で営業利益、経常利益は前年7掛けにダウン


第一四半期になんば本店の新規オープンと広島本店をリニューアルオープンしたエディオン。超大型店の出店は売上貢献とともに販売管理費の増加にもつながる。同様にセールも売上アップをもたらすかもしれないが、粗利益率を低下させる要因ともなりえる。エディオンの2020年3月期は、このような表裏一体の関係が垣間見えた決算となった。

連結売上高は上期が前年同期比12.6%増だが、下期は同8%減

2020年3月期におけるエディオンの店舗展開は、直営の家電店が1店増えたが、非家電店とFC店はそれぞれ4店の減少。全店舗数は1,184店で前年度から7店舗減となった。しかし、売り場面積で捉えると、大阪のなんば本店の新設や広島本店の建て替え等で16,000㎡以上売り場面積は増加した。

2019年6月7日にオープンしたなんば本店は売り場面積13,481㎡の超大型店

2020年3月期の連結売上高は7,335億7,500万円で前年比102.1%。前述の超大型店2店のオープンはいずれも6月だったため、業績貢献は限定的だが第1四半期の売上高は前年同期比108.6%と伸長した。

第2四半期の7月は冷夏の影響でエアコンの販売が前年の5割程度に落ち込んだ。しかし、8月になると需要が急増。増税前の駆け込み需要もあり、第2四半期は前年同期比115.8%で推移した。

第3四半期は増税による駆け込み需要の反動減と暖冬により、売上高は前年同期比91.5%とダウン。第4四半期は2月に反動減から脱したが、その後の新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響で売上高は同92.4%と落ち込んだ。

連結売上高は前年比102.1%だが、単独決算では102.7%。売上高においては連結子会社の業績がマイナスに作用した

商品分類別の売上高ではPCが約101億円、テレビが約57億円、冷蔵庫が約34億円、洗濯機・クリーナーが約35億円の増収で、住宅設備関連も約57億円増で売上高アップに貢献。その反面で携帯電話は約68億円、エアコンも約50億円の減収となり、市場環境や季節要因が影響を与えた形となった。

売上総利益は前年比0.4%増で、売上総利益率は0.5ポイントダウン

売上高が前年比2.1%増に対して原価も同2.8%増で、原価率は前年より0.5ポイントアップ。売上総利益は同100.4%の2,106億500万円、売上総利益率は28.7%となり、前年から0.5ポイントダウンした。

売上総利益は前年比0.4%の微増だが、売上総利益率は前年から0.5ポイントダウンとなった

売上総利益率は全四半期で前年よりもダウンしたが、エディオンではこの要因をエアコンに代表される季節商品の販売減とセールの実施や中止によるものと解説。エアコンは専用型番モデルが多く、工事を合わせた売上総利益率は非常に高い。そのエアコンの販売が前年を下回ったため、売上総利益率にも影響を与えた。

セールはその規模や販売計画によって売上総利益率がアップすることもダウンすることもある。同社によると、特に第4四半期に計画をしていた決算セールが新型コロナウイルスの影響で中止をしたことにより、達成リベートが減少して売上総利益率がダウンしたという。

販管費の増加により営業利益は前年比31.2%減

売上総利益の前年0.4%増に対して、販売管理費は同3.3%増。直営店舗は前年度よりも減少したものの、超大型店の出店などで設備・管理費は前年比5.4%増。広告宣伝費も同2.4%、人件費も同1.4%と全体的に販管費は増加した。

その結果、営業利益は122億8,400万円となり、前年比68.8%と大きくダウン。第1四半期と第3四半期はいずれも営業利益ベースで赤字となり、売上高営業利益率は前年の2.5%から0.8ポイントダウンの1.7%となった。

販売管理費の増加が影響し、営業利益は前年から55億5,800万円の減益で売上高営業利益率も前年の2.5%から1.7%にダウン

営業外収支としては前年よりも若干のプラスとなったが、営業利益の大幅な落ち込みが影響し、経常利益は前年比70.8%の133億6,500万円。売上高経常利益率は1.8%。前年から0.8ポイントダウンした。営業利益と同様に経常利益も第1、第4四半期では赤字となった。

営業利益の落ち込みは経常利益にも影響し、前年比で約55億円の減益となった
2020年3月期の連結業績は利益が落ち込み、営業利益率、経常利益率とも前年の2%台から1%台にダウンした

極力、余剰在庫を持たず、販売計画に基づいてセルアウトを重視するのは家電量販店企業各社に共通する動きだが、エディオンでも在庫圧縮に取り組み、棚卸資産は前年から5.6%圧縮。年間の棚卸資産回転数は前年の6.9回転から0.9ポイントアップの7.8回転となっている。

20年度は増収増益見込むが、当期純利益では減益予想

現時点で新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されていない都道府県もあるが、エディオンでは6月末で収束すると想定。今年度は季節商品生活家電に重点を置くとともに、セールや粗利ミックスに注力し、売上総利益率を前年より0.1ポイントアップさせる。

2021年3月期の連結業績計画では、売上高を前年比101.3%の7,430億円として、売上総利益を同101.4%と計画。EC売上高を前年比125%の180億円、エコライフソリューション商材売り上げを同119%の619億円と見込む。営業利益は同105.8%の130億円、経常利益を同104.7%の140億円と見込むが、親会社に帰属する当期純利益は同68.3%の75億円と予想している。

2021年3月期はポイント販促費を含む広告宣伝・販売費の抑制で営業利益をアップさせる

エディオンは他社と比較して売上高に占める販売管理費の割合が高く、2021年3月期は前年比1.1%増に抑制する計画だ。この抑制と前年より7店増の出店計画や前述の粗利ミックスで計画に従って展開していく考えである。