アイリスのハイクラスなふとん乾燥機とふとんクリーナーをレビュー


アイリスオーヤマがふとん乾燥機とふとんクリーナーのラインアップを拡大した。ふとん乾燥機は「カラリエ ハイパワー KFK-301」、ふとんクリーナーは「IC-FAC4」でいずれも上位機種となる。レビューする機会を得たのでここで紹介したい。

ふとんを人肌の温もりで保温できる、ふとん乾燥機

ふとん乾燥機は、天日干しできない雨の日でも、ふとんをふんわり乾燥できることから梅雨時の利用が多くなるイメージだが、実際は通年で運用したい家電だ。ふとんはダニが繁殖しやすく、蒸し暑い夏の間は定期的にダニ対策に使いたい。また、冬には冷たいふとんを手軽に温められるので毎日就寝前に使うと良い。

アイリスオーヤマの「カラリエ ハイパワー KFK-301(以下、KFK-301)」は、DCブラシレスモーターの採用とヒーター出力の向上により、基本性能をパワーアップしたモデルだ。ターボモードを搭載し、大風量を送り出すことで乾燥時間を短縮しながら、重量は従来機の「FK-C3」と同じ、1.8kgを維持しており、収納性や可搬性に優れる。

マットは不要で、設置は10秒もあれば完了する。アタッチメントを組み立てる必要もなく、サッと取り出してすぐに使い始められる。

ホースが長く、本体が縦置きでも横置きでも運転できるため、ベッドの横から温風を送り込むのも容易

パワーを活かし、ホースの長さはFK-C3の400mmから750mmへとほぼ倍増した。ホースの先のノズルはFK-C3等でも採用する立体構造を改良し、立体フラップを立てたときの高さを196mmまで伸ばした。これにより、敷ふとんと掛けふとんの間により大きな空間を作り、ふとんの隅々まで温風が届くようになっている。

実際に試してみると、終了時に立体フラップが閉じてしまっていることがあった。立体フラップにふとんをかぶせた後に、ホースの位置を調整していたら閉じてしまったと見える。ストッパーが付いてはいるのだが、一度セットしたらホースはなるべくいじらないほうが良さそうだ。

KFK-301が採用する、ふとんを持ち上げて温風を広げるロング立体ノズル。立体ノズルの高さは196mm

KFK-301では、ふとんの「あたため」のほかに「保温」も可能になっている。あたためは、冬場などにふとんを就寝前に人肌に近い33℃前後にほどよく温めておく機能だ。「あたため予約」を使えば、設定した時刻の30分前からあたため運転を開始し、設定時刻にはふとんが温まっている状態にできる。これは冷たいふとんが苦手な人には魅力的だろう。

「保温」は、この「あたため」や「あたため予約」などでの運転が終了した後、最大2時間まで出力を抑えて運転を続け、ふとんの温度が下がらないように保つ。

操作パネル。モニターで残り運転時間がひと目で分かる。タイマーは5/15/30/45/60/75/90/120/180分の9段階に対応する

実際にターボモードでふとんを乾燥させてみた。自動モードでの運転時間が自動的に短縮される。「夏(送風仕上げ)」のターボモードでの運転時間は、高温風で30分、送風(室温)で20分だった。短時間で乾燥できるのは、家族の多い家庭ほど便利さを実感できるはずだ。

高温風で試し、速暖中の音量を計測してみたが、だいたい50dB前後で安定した。流石に静かとは言いづらく、同じ部屋で電話するのは躊躇われるが、耳障りな高音が続かないので、事務作業であればすぐそばでもさほど気にせずできそうだ。

ターボモードで速暖中の音量を計測。もっと大きな音を予想していたので驚くほどではなかった

KFK-301でもう一つ特筆しておきたいのが、背面に取り付けられる、電源コードの巻き付け機構だ。

電源コード長が1.9mと長めなこともあり、束ねても収納時に邪魔になりそうだが、この巻き付けがあることで、すっきりして邪魔にならない。これは便利。なるほど家電の真骨頂と感じた部分だ。

本体背面に電源コードを巻きつけられる機構が備わっている

吸い込みパワーをアップして、ふとんのゴミを強力除去

ふとん乾燥機を使ったあとは、ふとんにクリーナーを掛けることが推奨される。特にふとん乾燥機のダニ対策モードを利用したあとは、ふとんにダニの死骸が残るため、できるだけクリーナーで取り除くほうが良い。昨今のクリーナーは、ふとん用のアタッチメントが付属するものも多いが、ふとん専用のクリーナーはふとんに特化している分、使い勝手が良く、ふとんのゴミを強力に除去できるのが魅力だ。

ふとんクリーナーの「IC-FAC4」は、アイリスオーヤマのふとんクリーナーとして、最強の吸引力を実現したモデルとなっている。従来機「KIC-FAC3」に比べ、吸い込み仕事率で約140%のパワーアップが図られた。

約30cmのワイドヘッドにふとんたたきの形状に似せた「たたきパッド」と「高速回転ブラシ」を搭載し、KIC-FAC3の2倍以上になる約15,000回/分でふとんを叩く。浮き上がったチリやダニ、花粉などの微細なゴミを強力な吸引力で根こそぎ吸い取っていく仕組みだ。

ふとんをクリーナーで掃除しようとすると、ヘッドがふとんに吸い付いて動かなくなりがちだが、IC-FAC4は高速回転ブラシにより、ふとんの上でもスイスイとヘッドを動かせる。ふとんクリーナーを持つ手と逆の手で、ふとんを押さえておかなくて良いのはとても使いやすいと感じた。

また、約20μmの微細なゴミまで感知する「ダニちりセンサー」を搭載。吸引したゴミが少ない時は緑、多いときは黄色、とても多いときは赤にLEDが点灯する。LEDはダストカップ部全体を照らすため、視認性に優れる。

IC-FAC4で実際にふとんを掃除しているところ。ごみやチリがあまり出ないときは「緑」に光る
ごみやチリが多いときは色が「黄色」に変わる。掃除している実感が湧く
ごみやチリがとても多い場所では色が「赤」に変わる

普段使っているふとんで、それなりにメンテナンスしていれば、一瞬だけ赤く光ることはあっても、しばらく赤く光り続けることはあまりないだろう。筆者は赤いLEDを撮影するため、クローゼットで長らく放置していた使い古しの毛布を引っ張り出して吸わせた。

ダストカップと集塵フィルターは、本体から取り外して水洗いが可能だ。

集塵フィルターに使い捨てフィルターをかぶせて、集塵ケースにセットすることでゴミ捨てが容易になる

集塵フィルターには、付属の使い捨てフィルターをかぶせられ、ほとんどのごみは使い捨てフィルターとともに処分できる。使い捨てフィルターをかぶせてセットするのには若干コツが必要で、しっかりセットしないと集塵フィルターが本体にうまくはまらない。このあたりはせっかく良いアイデアなので、初めて使うときでも手際よくセットできるよう、留め具のようなものがほしかった。

集塵フィルターは2つ付属するので、片方を使っている間に片方を洗って乾かしておくといった使い方も可能だ。使い捨てフィルターは25枚付属し、別途購入できる。アイリスプラザで25枚入りが税別397円となっている。

集塵ケースに集塵フィルターをセットしたところ

ふとんメンテナンスセットとして通年で提案を

KFK-301とIC-FAC4は、いずれも従来モデルの上位機であり、パワーアップしている半面価格も高くなっている。売る方にとっては高単価で嬉しい商材だが、買う側にとってはそれだけの価値があるか気にすることになる。基本的にはふとん乾燥にしろ、ふとん掃除にしろ、ハイパワーでスピーディに済ませたい人に向いていると言えるだろう。時間に追われる共働き世帯や、メンテナンスする寝具が多い大人数の世帯などには、このスピード感で訴求すると良さそうだ。

ふとん乾燥機とふとんクリーナーはどちらもふとんをメンテナンスする商材でありながら、別々のコーナーで展開されることが多い。店舗にもよるが、ふとんクリーナーはクリーナー売り場の一角に置かれ、ふとん乾燥機は季節商材との見方がまだ強いこともあって除湿機や衣類乾燥機の近くに置かれがちだ。アイロンやミシンの売り場が近い場合もある。

とはいえ、ふとん乾燥機とふとんクリーナーは同じ日に流れで使われることが多いのではないかと思う。先述したが、ふとん乾燥機でダニ退治したあとは、ふとんクリーナーで掃除しないと、ふとんにダニの死骸が残ってしまう。

そうした点を考えると、ふとん乾燥機とふとんクリーナーは、同じコーナーにセットで展示してあったほうが、来店客には気付きを与えることができそうだ。

雨の日でも室内で気軽に使えるふとん乾燥機とふとんクリーナーがあれば、一人暮らしや共働きの家庭でも、天候を気にせずいつでも清潔で温かいふとんで寝られる。どんな高級なふとんでも汚れて汗を吸った状態が続けば寝心地は悪くなり、家族の睡眠と健康には悪影響を及ぼすことになる。毎日使うふとんをしっかりメンテナンスする大切さを売り場で演出してほしい。

アイリスオーヤマが用意するふとん乾燥機とふとんクリーナーのセット提案用の展示パネル案(最終版ではない)