今年のCEATECはWEBサイトによるオンライン開催 スローガンは「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」
オンライン開催により、より多くの来場者の集客が可能
2000年から毎年10月に幕張メッセで開催されてきたCEATEC。昨年20周年を迎え、本年は21回目の開催となる。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれた。幕張メッセのような巨大なイベント会場とはいえ、4日間で10万人を超える来場者が集まり、人と人との物理的な距離が非常に近いからだ。
そこで、今年のCEATEC2020はオンラインでの開催となり、その記者会見が6月30日にこれもオンラインで開催された。
CEATEC実施協議会のエグゼクティブプロデューサーを務める鹿野清氏は「CEATEC2020の概要説明会等はすでに行ってきましたが、新型コロナウイルスによって変更を余儀なくされました。しかし、このような時だからこそCEATECが果たす役割があると考えました」と述べる。
CEATECはさまざまなテクノロジーによって暮らしが豊かになるというSOCIETY5.0を推進している。新型コロナウイルスの影響でリアルでの開催が難しいと判断される中、逆にテクノロジーを活用して新しいCEATECというものを作っていくことは、ある意味でSOCIETY5.0が目指すものと同義である。
そのため、CEATECとしてはまさに初の試みではあるが、オンラインでの開催に踏み切ったというわけだ。このオンライン開催でのメリットについて、鹿野氏は「これまでは会場への物理的な移動が不可欠でした。しかし、オンラインではこの物理的な移動がなく、海外からでも来場が可能。これによって、従来よりも多くの来場者の参加が期待できます」と語った。
テクノロジーでニューノーマル社会に対応
CEATEC2020のテーマは「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」。新型コロナウイルスの感染拡大で暮らしや生活は従来と異なり、ニューノーマルと称される新しい価値基準や生活様式が必要となってきた。この新たな局面に対して、テクノロジーやソリューションの総合展示会であるCEATECだからこその新技術やソリューションを提案するという。
CEATEC2020には3つのコンセプトが設けられている。その一つは、「New Normal」。前述のとおり、テクノロジーやソリューションによる新たな社会への提案だ。そして、DXと略される「Digital Transformation」。これはオンライン開催によって、まさにリアルからデジタルへの転換となり、リアルではなし得ないさまざまな提案が可能となる。そして、「Anytime & Anywhere」。オンラインだから、いつもでどこからでも来場が可能ということだ。
会場内のエリアは5つ。企業エリア、スタートアップ&ユニバーシティゾーン、公式イベントエリア、コンファレンスエリアの4つは従来のリアル開催での区分と同じ。これに今年はニューノーマルエリアが新設される。
CEATEC2020の来場は登録制で、ログインして入場する。エントランスとしてのトップページには上記の各エリアが紹介されており、来場者は画面のクリックで選択したコンテンツに自由にアクセスするスタイルだ。
オンラインでもできること、オンラインだからできること
オンライン開催によるCEATEC2020の特長は次の4点だ。①出展者はライブ配信やチャットなどでリアルタイムのコミュニケーションが可能。②海外からの来場者のため、日本語と英語の両ページを用意し、入場時に選択が可能。③来場者はすべてログインして来場するため、出展者は専用ページから訪問者リストをリアルタイムで取得可能。どのブースに立ち寄ったなどの行動履歴も知ることができる。④オンラインでの情報提供は1年のみの経過措置ではなく、今後も基幹ツールとして経年的に活用する、というものだ。
今後の予定は次のとおり。開催は10月20日~23日の4日間だが、その後約2カ月間のアーカイブ掲載を予定している。
将来的には先端技術の家電製品への転用もありえる
現在のCEATECはかつての家電見本市とは全く様相が変わり、IOTやAI、5Gなどの最先端テクノロジーを活用した産業や社会インフラなどの総合展示会という位置づけだ。
実際に展示されている技術やソリューションもB to Cではなく、B to B、またはB to B to Cがほとんどである。しかし、F1やWRCのように最先端の技術をレースで試し、やがて一般車にもその技術が用いられるというケースは数多くある。
ここ数年間のCEATECに足を運んだ者なら、5Gスマホの発売前に5Gで何ができるか、どのようなメリットがあるのか、どのようなハードルがあって実使用はいつくらいからになりそうなのか、などを知ることができた。
今はまだ家電とはほど遠い技術の数々も、アッという間に家電に搭載され、、それがスタンダード仕様になっていくかもしれない。そんな将来を考える際に、特に今回のCEATECはオンライン開催なので、営業時間の終了後や居住エリアが遠隔地であっても来場が可能。家電流通に従事する者にとって、CEATEC2020はこの先の家電を考えるうえで絶好の機会といえるだろう。