家電量販店の12月売上高は前年同月2桁伸長 気温低下とウイルス対策でエアコン等の季節家電が好調に推移
ケーズは月次、第3四半期、年度累計で売上高は2桁増
ケーズホールディングス(以下、ケーズ)の月次速報による2020年12月の売上高は前年同月比121.5%と伸長した。2020年10~12月の第3四半期では前年同期比131.9%と売上高は好調に推移し、第3四半期累計でも同112.1%と2桁伸長となっている。
商品別でみると、テレビは前年同月比136.5%で、第3四半期では前年同期比147.9%と、前年の同期間の約1.5倍の売り上げとなっている。エアコンも同131.1%で、第3四半期で同145.0%と好調さをキープ。主な商品として公表している冷蔵庫や洗濯機、クリーナー、調理家電、理美容・健康器具についても12月の売上高は同120%台となっており、第3四半期でも同120~150%台である。
一方で12月のパソコン売上高は前年同月比85.4%とダウン。2020年1月にWindows7のサポートが終了となり、1カ月前の2019年12月はサポート終了前の買い替え需要でパソコン売り上げが伸長。つまり、2019年12月のベースが高かったことの反動から2桁減になったといえよう。テレワーク需要自体は伸長が鈍化しているものの、好調といえる状況にあるようだ。
エディオンの12月は前年同月比116%で、年度累計では102.4%
エディオンの12月売上高は前年同月比116.0%。第3四半期は前年同期比120.0%で、第3四半期累計では同102.4%となっている。同社では商品別売上高については月次で開示しておらず、四半期単位での開示。そのため、商品別の動向は現時点で不明だが、ゲーム・玩具、住宅設備、修理工事などの家電以外の「その他」の売上構成比が約2割を占めており、この売上動向が気になるところだ。
コジマの12月エアコン売り上げは前年同月比30%増
コジマの12月売上高は前年同月比115.8%。同社の決算期は8月で、9~12月の上期累計では前年同期比109.2%で推移している。商品別ではパソコン本体が先述のケーズと同様の理由から前年同月比91.5%とダウンしたが、その他の商品売り上げは好調に推移している。
12月は気温が下がったことにより、エアコンの売上高は前年同月比130.4%と販売が好調だった。また、テレビも好調に推移しており、12月は同126.2%で、上期累計でも前年同期比118.2%と2桁増をキープしている。
大型白物家電商品を代表する洗濯機と冷蔵庫の12月売上高は前者が128.3%、後者が127.3%。洗濯機ではドラム式洗濯乾燥機、冷蔵庫は大容量タイプが好調に推移したという。
パソコン本体は先述したように12月売り上げが前年割れ。上期累計でも前年同期比99.6%と前年実績を割っている。同社の上期は2021年2月までで、2020年1~2月のパソコン売り上げは大きく伸長したため、この2カ月でどれだけ売り上げを積み上げられるかが重要だ。
都市型立地のビックカメラは12月売上高が前年割れ
ビックカメラの12月売上高は前年同月比93.7%。9月からの上期累計では前年同期比89.8%と前年実績2桁減となっている。2019年12月売上高は前年比75.0%で、2年前の12月と比較すると売上高は約7割と売上規模がシュリンクしているのが気になるところだ。
同社は商品別ではなく、品目別で売上状況を開示。12月の音響映像商品は前年同月比90.4%で、家庭電化商品が同103.2%、情報通信機器商品が同103.8%、その他が同77.2%。テレビや冷蔵庫、エアコン等の季節家電、パソコン周辺機器、スマートフォン、ゲームは好調に推移したが、その他は低調だったという。
同社では単体での2020年9月~2021年2月の上期売上高を前年横ばいと予想しているが、現時点の累計売上高や販売環境は厳しい。同社が成長・差別化のポイントとして注力しているECをどれだけ拡大できるかがカギとなりそうだ。
昨年の1月15日、国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから1年。感染拡大に歯止めがかからず、一向に収束する気配はない。本来、新生活需要が本格化していく時期だが、テレワークやオンライン授業の普及などで新生活需要がどのような形になっていくか、定かでない部分もある。
基本的に3密を避けるという行動様式は続いていくだろう。であれば、お客が何度も足を運ばなくても済むような対応が必要だ。集合展示や群展示による提案を強化し、お客の利便性向上と複数購入による顧客単価アップを兼ねた取り組みが肝要ではないだろうか。
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