若いファミリー層をターゲットに据えたルンバi3
アイロボットジャパンはこのほど、オンラインで新製品の「ルンバ i3+」「ルンバ i3」を発表した。登壇した同社の代表執行役員社長の挽野元氏は「2020年は国内で前年比20%増という、当社設立以来の高い成長率を達成しました。また、ルンバとブラーバを合計した国内での累計出荷台数は昨年末までに400万台を突破しました」と挨拶を述べた。
同社によるとルンバとブラーバを合わせたロボット掃除機の世帯普及率は7.2%。徐々にではあるが、普及率はアップ。同社では2023年までにこの世帯普及率を10%にすることを中期目標として掲げている。
しかし、ロボット掃除機は決して安価な製品ではない。特に共働きや子育てで掃除の手間を省きたいと考えている若いファミリー層にとっては、価格がネックとなっている面もある。同社では、さらなる普及率アップを図るため、若いファミリー層をターゲットとした新製品のルンバ i3+とルンバ i3を2月26日に市場投入する。
「ルンバi3は『今までの掃除を手放して新しいライフスタイルを』というキーメッセージで、コストパフォーマンスに優れ、インテリアにも合うデザインです。掃除のストレスが解消される製品に仕上がっています」と挽野氏は話す。
製品ポジションはi7とe5の中間に位置づけ
ルンバの現行ラインアップはs9+とi7・i7+、e5、671。S9+はクリーンベースがセットになったハイエンドモデルの高機能モデルで、価格は18万円超。他社も含めたロボット掃除機の中では別格といってもよいプレミアム製品となっている。
そのため、お客が来店して購入機種を選択する際は、i7・i7+とe5、671が候補モデルとして考えられる。しかし、i7にはi7+があるが、e5は単体のみ。しかも価格面でi7とe5とは倍以上の値差がある。
i3は、このi7とe5の間のポジションという位置づけで、同社では戦略的な価格付けをしたという。
その特長は、①最新テクノロジーを搭載、②ライフスタイルに溶け込むデザイン性、③アプリ連動で操作はもちろん、情報も取得でき、ユーザーの用途に合わせた清掃が可能、などである。
デュアルアクションブラシを改善
①では、i7に搭載されているAeroForce 三段階クリーニングシステムを採用。i7と同様にルンバ600シリーズの10倍の吸引力を誇る。物理的カメラは搭載していないが、フロアトラッキングセンサーで移動距離を計測しながらフロアを直線的に掃除する。
また、本体正面部に配置されたリアクティブダンパーが斜め上からの力を検知。ソファの下など、狭いところに侵入した際、立ち止まってしまうようなことがなくなったという。
さらにゴム製のデュアルアクションブラシも改善された。ゴムブラシのエッジ部の高さを低くし、凹凸の加工も施した。これによって従来のブラシよりもさらに毛が絡まりにくくなっているという。
ルンバ史上初のファブリック調のグレーボディ
これまでルンバの本体は黒系のカラーだったが、i3は②でファブリック調のグレーを採用。ルンバi3はシンプル、クリーン、ピュアをコンセプトとして、ユーザー調査を行ったうえでインテリアに馴染み、主張しすぎないデザインを取り入れた。
パッと見はファブリックだが、多層フィルムによって凹凸のある質感を表現。この凹凸があるため、指紋が付きにくいというメリットもある。
③は「iRobot HOME」アプリと連動し、外出先から運転を開始することが可能だ。掃除が終了するとスマホに通知が届き、掃除をしたエリアや時間などの情報を把握できる。スマートスピーカーとも連動して音声で操作ができるほか、掃除のスケジュールや季節の変化に合わせた掃除の方法も提案する。
ペーパークラフトとwebでのAR体験を提供
同社のブランドマーケティング部部長の岡部太郎氏は、「i3の発売では、体験をしてもらおうということに注力しています。店舗にはデモのためのテーブルを提供していますので、活用してお客様に体験してもらいたいですね」と話す。
また、これまでにない取り組みでは、店頭配布用としてルンバi3+の実物大ペーパークラフトを作った。お客が家に持ち帰って組み立てることで、ルンバi3やi3+を部屋に置いた時のサイズ感が把握できるものだ。
岡部氏は「ルンバに興味を持ったお客様でも、どれくらいの大きさなのか分からないという声がありました。そこで、実寸台のペーパークラフトを使って自宅で使用した際のイメージが分かるようにしました」とペーパークラフト採用の理由を語る。配布するのは専任スタッフが常駐する全国40~50の主要店舗だ。該当店舗に行けないお客も当然いる。その際は「webでも体験をしてもらおうと考え、AR体験ができるツールも用意しています」という。
ルンバが触れるのには理由あり
他社製品をルンバと比較する際、ルンバが椅子の脚や棚などに触れることをルンバに対するカウンタートークとして用いられることがある。これに対して岡部氏は次のように述べた。
「ルンバが触れるのには理由があるのです。フロアのマップをより正確に描くことで、隅々まで掃除ができます。触れるといっても赤外線センサーが障害物を検知して減速して触れるようになっています。また、傷が付かないようにソフトなバンパーを装備しています。触れないようにすることもできるのですが、室内をしっかり掃除するために、あえて触れるようにしています」
i3の発売でラインアップが増えた。となると、お客に説明をして売り分けることが必要となる。以下に売り分けのポイントを紹介する。
先述のとおり、新発売のルンバi3、i3+はコストパフォーマンスに優れた製品で、「インテリアを損なわないデザインや機能性で、ヤングファミリーを中心として提案していただきたい自信のある製品に仕上がっています」と岡部氏は話す。
クリーナー市場ではコードレススティッククリーナーが席巻しているが、ロボット掃除機はなんと言っても“ほったらかし家事”が実現できる製品だ。新発売となるルンバi3、i3+を店頭で積極的に体験してもらい、その利便性を訴求しよう。
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