バッファローがWi-Fi 6対応ルーターと中継機をWi-Fi EasyMeshに対応
無線LANルーターの累計出荷台数は5,600万台超でトップシェアをキープ
バッファローは6月3日にWi-Fi事業戦略オンライン発表会を開催した。同社のコンシューママーケティング部部長の中村智仁氏は「当社は20年以上にわたってWi-Fi製品を販売してきました。便利な機能があれば、いち早く製品に実装し、業界標準規格が策定されれば速やかに対応してきました。その結果、無線LANルーターの累計出荷台数は5,600万台を超え、年間販売台数では19年間トップシェアとなっています」と述べた。
Wi-Fiルーターは最新規格であるWi-Fi 6の構成比が急増。本年4月の時点で販売構成比の32%に達しており、年内には50%に達するだろうと同社ではみている。それだけWi-Fi 6の特長である高速通信や多数同時接続に対するニーズが高まっているということだ。
とはいえ、Wi-Fiルーター単体ではカバーできるエリアが限られている。そこでWi-Fi中継機を使用してメッシュネットワークを構築し、電波が届くエリアを広げるという動きが注目されるようになってきた。
メッシュネットワークはまだお客の認知が低い
Wi-Fi中継機の販売におけるメッシュ対応比率は36.1%で、親機のWi-Fiルーターのメッシュ対応比率は15.7%に過ぎない。調査会社によるアンケート調査ではWi-Fi中継機の認知度は約6割だが、メッシュ対応中継機の認知度については約3割とのことだ。
中村氏は「認知度や販売構成比からすると、メッシュネットワークがまだまだお客様に届いていないと考えています。ライフスタイルの変化などで、より家庭のWi-Fi環境を最適化することが求められています。そこで、2019年以降に発売したWi-Fi 6に対応したルーターと中継機、今後発売予定の製品を業界標準規格のWi-Fi EasyMesh対応とすることにしました。また、今後のWi-Fiルーターのラインアップには安心・安全のため、製品に1年間無料ライセンスのセキュリティ機能を搭載します」と発表した。
EasyMeshは独自規格ではなく業界団体の標準規格
Wi-Fi EasyMeshとは、無線LAN規格の普及促進を目的とする業界団体のWi-Fi Allianceが定めたメシュネットワークの標準規格である。
従来のWi-Fiルーター親機と中継機には3つの大きな課題があった。1つ目の課題は親機と中継機の通信が状況によって最適化されず、通信が途切れること。例えば1階から2階へ移動する際に接続が不安定になるというケースだ。2つ目は通信しながら移動する際、端末が電波の強度によって通信を切り替えるため、移動してもずっと親機と接続したままなどで遅延や途切れが発生すること。3つ目は有線しか対応していない家での使用だ。
Wi-Fi EasyMeshはこれらの課題に対応し、従来のWi-Fiルーター+中継機や各社による独自メッシュよりもできることが多くなっている。
さらにメーカーが異なる親機と中継機の組み合わせでもWi-Fi EasyMeshは標準規格のため、接続が可能である。セットアップも有線の場合はケーブルで接続するだけ、無線LANの場合はボタンを押すだけで設定情報が自動でコピーされる。セットアップに手間がかからないのも大きな特長の1つといえよう。
既発製品もファームウェアのアップデートでWasyMeshに対応
バッファローでは先述のとおり、2019年以降に発売したWi-Fi 6対応ルーターと中継機の全ラインアップを6月上旬からファームウェアのアップデートという形でWi-Fi EasyMesh対応にしていく。同社の製品は2.4GHzと5GHzの両バンドに対応しており、干渉によるノイズや切断時でもノイズレベルが少ないバンドへ自動的に接続するため、W-Fi EasyMesh対応で利便性はより向上する。
今回の発表会ではWi-Fi 6対応ルーターのプレミアモデルとエントリーモデルの新製品2機種も合わせて発表された。
新製品ではセキュリティ対策も強化
6月下旬発売のWi-Fi 6ルーターのプレミアムモデル「WSR-5400AX6S」は5GHz帯がワイドバンド160MHzに対応し、最大転送速度は4,803Mbps。2.4GHZ帯は最大573Mbpsで有線LANは最大1Gbpsの高速通信が可能だ(いずれも理論値)。LANポートは4つ、接続台数は30台までで、カバーエリアは4LDK程度までとなっている。
セキュリティ対策としてウイルス感染や不正な操作が疑われる場合に通信を遮断し、インターネット上の脅威から接続機器を守る「ネット脅威ブロッカー ベーシック」の1年間無料ライセンスも付与される。
ラインアップのポジションとしては、フラグシップのWXR-6000AX12S、ハイパフォーマンスのWXR-5700AX7Sに次ぐプレミアムモデル。自宅でPCやスマホを最大限活用し、テレワークや学習、ゲームなどに最適なモデルだ。
また、発売は9月頃とまだ先になるが、Wi-Fi 6ルーターのエントリーモデル「WSR-1500AX2S」も発表された。同モデルの最大転送速度は5GHz帯が1,201Mbps、2.4GHz帯が300Mbps、有線LANは1Gbpsである(いずれも理論値)。LANポートは3つで接続台数は12台まで、カバーエリアは3LDK程度までである。
エントリーモデルでも「ネット脅威ブロッカー ベーシック」の1年間無料ライセンスが付いていて市場想定売価は7,300円前後と非常にリーズナブルな価格設定。主にシングル世帯でスマホをメインとした利用シーンを想定しているという。
同社では、“気が付いたらメッシュWi-Fiがそこにある世界”にしたいと考えている。Wi-Fi Easymeshの対応やセキリュティ対応など、ユーザーの利便性や安全で快適な通信環境の構築を考えた取り組みは高く評価できるだろう。
お客のニーズに応え、通信機器を分かりやすく伝えよう
ネット接続可能な機器の増加により、家庭内での通信環境をより快適にしたいというニーズは高まっている。だが、ルーターを買い換えよう、もっとつながりやすい環境にしようと思ってもハードルは高い。なぜなら、情報を得ようとするとある程度のリテラシーが必要となるからだ。
一般的にWi-Fiルーターの売り場はセルフになっており、パッケージに記載されているスペック等を見て製品を選択するというスタイルだ。従って知識のないお客にとっては、情報を知ることができる売り場とは言い難い。通信環境の改善をより平易に、分かりやすく伝えることが販売サイドには必要だ。
ラインアップの中で個々のお客に最適なモデルはどれかを示すのに、同社が挙げている機種ごとの利用シーンはお客にとっても1つの目安になる。効果的な提案を実現するため、よりお客目線の展示や演出に取り組もう。
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