ノジマの2020年3月期は売上高2.1%増で、経常利益は15%増と伸長 営業利益、経常利益とも2桁伸長で、最高益を更新
上期の売上高は前年同期比9.6%増で、下期のマイナス分をカバー
ノジマの2020年3月期連結売上高は5,239億6,800万円で、前年比102.1%となった。売上高を四半期別で見ると、第1四半期の実績は前年同期比111.0%で、第2四半期も同108.3%。上期累計では同109.6%と伸長した。
しかし他社と同様、消費税の税率がアップした下期に入ると厳しい状況が続いた。第3四半期の売上高は前年同期比95.1%、第4四半期も同95.4%と前年割れが続き、下期の累計は同95.2%。上期の貯蓄を下期で消化する形となった。
同社の事業をセグメントで分類すると、4部門に大別することができる。家電流通業としてのデジタル家電専門店運営事業と主要子会社であるITX等によるキャリアショップ運営事業、niftyによるインターネット事業、そして2019年2月に株式の公開買付を行って子会社化したCourts Asia Limitedやカンボジア店の海外事業だ。
売上高をセグメント別でみると、海外事業は2020年3月期からの実績となるため、前年比は算出されていないが、デジタル家電専門店運営事業は前年比99.2%、キャリアショップ運営事業は同87.1%、インターネット事業は同95.2%。事業環境としては非常に厳しい年度だったことが分かる。
売上総利益は2桁増、売上総利益率は2.4ポイントアップで27.5%
前年比102.1%の売上高に対して、在庫商品のコントールなどで売上原価は前年比98.8%に削減。半期別で捉えると、売上高が前年同期比109.6%だった上期の売上原価は同107.1%と増加したが、売上高が同95.2%だった下期の売上原価は同91.3%と売上高の減少以上に原価を圧縮している。
その結果、売上総利益は1,441億1,700万円で前年比112.0%と2桁増。売上総利益率は前年の25.1%から27.5%と2.4ポイントもの大幅アップとなった。
海外も含む店舗数は増加し、従業員数が1,500人以上増えたことで販売管理費も増加。前年比111.0%で、売上高販管費比率は前年21.3%から23.2%にアップした。
だが、販売管理費を上回る伸びとなった売上総利益によって営業利益額は225億8,200万円、前年比117.5%で2桁増となった。売上高営業利益率も伸長し、前年の3.7%から4.3%と0.6ポイントアップした。
営業利益は4四半期ベースで全期とも額、率がアップ
営業利益について四半期ごとで見ると、いずれの期でも営業利益額、売上高営業利益率のいずれも前年同期を上回る実績となっていることが分かる。
第1四半期の営業利益は前年同期比116.3%で、売上高営業利益率は前年同期より0.1ポイントアップ。同様に第2四半期は額で同128.9%、率で0.9ポイントアップ。減収となった第3、第4四半期においても前者は額で同110.5%、率で0.6ポイント、後者も額は同110.8%、率が0.6ポイントのアップ。下期の厳しい環境下でもしっかりと利益を創出する取り組みに注力したといえる結果だ。
営業外収支では営業外費用の増加により、前年よりも収益としてはダウン。営業利益よりも伸長率は低いが、経常利益は過去最高益となる242億1,800万円で前年比115.1%の2桁増となった。売上高経常利益率は4.6%で、前年よりも0.5ポイントアップで着地した。
2021年3月期はグループ内シナジーとデジタル分野を強化
2020年度に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大により、同社の店舗は他社と同様に営業時間の短縮や休業に直面。5月12日の時点で全店の約30%が休業となっている。キャリアショップは改正電気通信事業法の影響で市場環境は厳しくなっている。また、インターネット事業も競争環境の激化で新規需要の開拓は容易ではない。
このような環境下でノジマは5GやAI等への投資を推進し、従来から同社が強みとしていたデジタル分野を強化する考えだ。
また、同社は不正融資が発覚したスルガ銀行と資本・業務提携をしてノジマが筆頭株主となった。4月10日にはノジマの野島廣司代表執行役社長がスルガ銀行の取締役副会長に就く役員人事が発表された。
スルガ銀行は静岡、神奈川を中心とし、ノジマの商圏とも重なる。デジタルテクノロジーは金融分野においてフィンテックとして導入が進んでいる。ノジマでは金融と既存事業を癒合させた新しいサービスを創出するとともに、2021年3月期はグループ内のシナジーを高める活動に取り組み、さらなる成長拡大を目指す考えだ。
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