ニーズの高まりとともに製品ラインアップが充実 アイケア家電の需要動向と売り場づくり


現代人が抱えるツラい眼の疲れ

最近、目は疲れていませんか?という質問に、全く疲れていないと答える人はおそらく少数だろう。

現代人は、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスに接する時間が急増したため、眼の疲労を常に抱えているといわれている。

会社で仕事をしていると、パソコンから目を離した瞬間に目を閉じて上を見上げる人や、指で目をマッサージする人、首を回してストレッチをする人など、手段は様々だが、眼の疲労からくる体の不調を緩和したいと感じている人が多いようだ。

厚生労働省が行った調査によると、パソコンなどを使用して作業をする男女が感じている疲労のうち、一番多いのが「目の疲れ・痛み」。実に90.8%の人が症状を感じている。

これは、次点の「首、肩のこり・痛み」の74.8%に16ポイントもの大差をつけてのトップだ(下図参照)。

現代人に多い「スマホ老眼」と「ドライアイ」

デジタルデバイスの使用による現代人が抱える眼の悩みは、「スマホ老眼」と「ドライアイ」が多く、同時発生している人もいる。また、眼の疲れから、肩や首のこり、頭痛を訴えることも多いという。

スマホ老眼は、スマホの画面など近距離のものを見続けることにより、ピント調節をする目の筋肉が運動不足になることに起因する。そのため、眼のピントが合わず対象物がボヤけて見えにくくなったりする。通常40代から50代で始まる老眼のような症状を、30代でも訴える人が徐々に増えてきているのだ。

ドライアイは、コンタクトレンズの使用やデジタルデバイスの使用による瞬き回数の低下やエアコン等による物理的な乾燥が主な原因。

眼の不調を和らげる商品が人気

このような眼の不調を和らげるために発売されたサプリメントが人気だ。化粧品・健康食品メーカーのファンケルが販売している「えんきん」は、「手元の小さい文字が見えにくくなった」「スマホ・パソコンの使い過ぎで目がぼんやり」する人のための、手元のピント調節機能を助けるサプリメント。
「えんきん」の16年度の売上は35億円で、前年度の8億円に比べて驚異的な伸びを見せている。

背景には15年4月に開始した機能性表示食品制度と、それに合わせたテレビCMなどの広告宣伝の影響が大きいと思われるが、目の疲れや不快感をなんとかして緩和させたいというニーズが顕在化したのも要因の一つであろう。

情報伝達ツールとしてのデバイス活用が進む現在、このニーズは、今後も確実に高まると予測できる。

アイケア家電拡売に向けて~売り場の現状と課題点

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消費者ニーズの高まりとメーカーの商品ラインアップの充実という需要と供給がマッチしているアイケア家電。家電量販の売り場では、この販売チャンスを確実にゲットするために、もっとアイケア家電の販促を強化したい。

現状、アイケア家電の売り場展開は、各量販とも、「理美容機器コーナー」で展開し、「セルフ売り場」というのが一般的だ。

では、拡売を図るための課題点は何か。

課題点その①:展示が理美容機器コーナー

アイケア家電を販売しているのが、主に理美容機器を発売しているメーカーであることが一因のようだ。いわゆる見た目を整える理美容機器コーナーに展示されているため、製品コンセプトがうまく顧客に伝わっていない可能性が高い。

現在販売されているアイケア家電の訴求ポイントは、二つに分けられる。目もとのハリ感アップなどを訴求した「美容」と、先述のような現代人特有の眼の悩みを抱えている人たちへの「癒し」訴求だ。ラインアップは、後者の「癒し」を謳った商品が圧倒的に多い。
美容をコンセプトに訴求しているアイケア家電は、理美容機器コーナーに展示するべきだろう。

しかし、癒しを目的としたアイケア家電は、理美容機器コーナーに陳列されていると本来のコンセプトが顧客に伝わらない。

また、理美容機器コーナーには近寄りづらいと思っている男性は多く、眼疲労は男女問わず持っている悩みなのに、男性への訴求がほとんどできていないという点も課題として挙げられる。

課題点その②:売り場が目立たない

現状、商品が陳列されているだけで、メーカーからの販促物のみで訴求している店舗が多い。コーナーに誘導するための仕掛けや装飾などで商品を目立たせる工夫があまり見られないのが実情だ。

課題点その③:体感ができない

目に直接触れるため、試したくても衛生面が気になって試せないというお客は多い。ウェットティッシュを置いたり、装着時に本体と顔の間に差し込むティッシュを用意している店は意外と少ないためだ。

これらの課題をクリアすることで、はじめて顧客への提案が可能となる。アイケア商品は、生活に必要不可欠な商品とは言えない面がある。目の疲れやこりは、人によって程度の差があるからだ。

しかし、先述のとおり、多くの人が潜在的に何らかの目のトラブルを抱えているのが実情。そこで店として注力すべきが、潜在ニーズを顕在ニーズに変えること。つまり、アイケア商品に気づいてもらう取り組みが必要なのだ。

課題点攻略の対策

①理美容機器コーナー以外で展示する。

パソコン、スマホ、テレビコーナーなどにも展示したい。潜在需要が高いとみられる男性にも訴求でき、黒物家電などを購入した顧客にはポイントでの購入など、理美容機器以外のカテゴリーに展示することで、ついで買いも促せる。

②販売店からのアピール

顧客は、自身の眼の悩みを緩和したいと思っていてもなかなかうまくいかず、アイケア家電との出会いを待っている状態なのかもしれない。
そのような潜在需要を確実に販売につなげるには、売り場からのサジェストが必要だ。諸々の事情でどうしても理美容機器コーナーでしか商品展示ができない場合は、お客にPOP等で、眼の疲れを癒す家電だという商品のコンセプトを積極的に伝えたい。POPがマグネットの役割を果たし、理美容コーナーを通り過ぎてしまう男性客にもアピールできる。

③使用感を伝える

いくら店舗が清潔に管理していても、どうしても衛生面が気になり、実際に目に当てて体感するのを躊躇する人は多い。しかし、必ず通電をして、温感や振動、エアバッグの動き等を見てもらうことは大切だ。
さらに、POPなどで実際の使用感をアピールすることも重要。「スマホの見過ぎで眼が疲れていた私が使ってみました」というように、顧客の悩みに寄り添った販売員自身の感想を書こう。ネットの口コミでは得られないリアルな感想を求める顧客のニーズを満足させられる。