石油ファンヒーターの出荷台数は洗濯乾燥機を上回る
石油ファンヒーターは季節商品として分類されている。このカテゴリーはオンシーズンの天候によって需要が左右される傾向が顕著だ。
日本ガス石油機器工業会の自主統計によると、2017年度の石油ファンヒーターの出荷台数は前年比108.3%と大きく伸長した。これは同年度の冬が非常に寒かったためだ。逆に2019年度の冬は暖冬で出荷台数は同81.7%と大きくダウン。2017年度と2019年度の出荷台数を比較すると、実に74万台もの差異がみられる。この変動要因が天候にあることは季節家電製品を扱うメーカーにとって共通の悩みといえるだろう。
集合住宅の増加や住宅の高気密化、熱源を石油とすることなどから石油ファンヒーターの需要が今後急増することは考えにくい。しかし、前述の2019年度でも出荷台数は約157万台。同年度の洗濯乾燥機の出荷台数は約115万台で、401L以上の冷蔵庫が約172万台。両製品とも通年商品であるのに対し、石油ファンヒーターの需要期は11月~2月の約4カ月だ。需要は減少傾向とはいえ、その市場規模はまだまだ大きい。
買い替え需要がメインで購入者の約7割が50代以上
ダイニチ工業(以下、ダイニチ)のユーザー調査によると石油ファンヒーターの購入者は50代以上が約7割を占め、購入者の年齢層は年々高くなっているという。
購入者の年齢層が高くなっている要因として同社では、石油ファンヒーターの需要が新規購入よりも買い替えがメインとなっている点を挙げる。つまり、石油ファンヒーターの即暖性や部屋全体を暖める点を評価し、買い替えという形で使い続けているということだ。
そこでダイニチではこの年代層のニーズを検討し、さらに幅広い年代にもベネフィットとなるポイントとして「より分かりやすい」ことを重視。新製品での改良に活かした。
石油ファンヒーターでの「分かりやすさ」とは、操作パネルをより見やすくし、操作ボタンの形状や配置をより操作しやすくすることとダイニチでは考え、視認性と操作性の向上に注力した。
上位モデルの「分かりやすさ」を下位にも採用
家電量販店向けの新製品で、この視認性・操作性の向上を付加したのはミドルからスタンダードクラスの3シリーズ。上位モデルのSGXタイプやGRタイプに変更点はない。ないというよりも、これら上位のシリーズでは大型の液晶パネルや操作ボタンなどの“分かりやすさ”がすでに改善されているのだ。
つまり、2020年の新製品は上位シリーズに搭載されている「分かりやすさ」を下のクラスにも横展開させたということである。
家電量販向けは3シリーズでパネル部を一新
秒速消臭システムプレミアムとタンクWとって、音量セレクトを搭載した5.0LタイプのKEシリーズは、操作パネルのボタンを前年度モデルよりも大きくし、見やすいデザインとなった。
コンパクトなスタンダードモデルのNEシリーズは3.5LタンクのFW-2520NEと5.0LタンクのFW-3220NEの2タイプ。新たに秒速消臭システムプレミアムを搭載し、操作パネル部はボタンの配置を一新。視認性と操作性が前年度モデルより大きくアップした。
FW-3220NEと同サイズで機能を簡素化したスタンダードモデルのSシリーズ・FW-3220Sも操作パネル部を一新。前年度モデルから視認性を改善した。
石油ファンヒーターは売り場での体験自体はできないが、前述のとおり買い替え需要が多く、速暖性や全体暖房としての魅力は周知されているといえよう。従って、現在の使用機種よりも消臭効果や給油時の手間、そして操作パネル部の視認性やボタンの操作性などの向上を訴求したい。これらのポイントは実機を見てもらえれば伝わるはずだ。
見やすく、操作しやすくなったダイニチの石油ファンヒーターの新製品をしっかりとお客に説明して、これからの需要期に対応していこう。
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