空気清浄機はリビング以外への導入が課題
コロナ禍により、テレワークやオンライン授業などで家族が個々の部屋で過ごす時間が増えている。これまで空気清浄機は主にリビングの空気浄化を訴求してきたが、空気浄化のニーズは新しい生活様式によって個室にも拡大している。
内閣府の消費動向調査を基にしたシャープの推定によると、空気清浄機の普及率はファミリー世帯のリビングでは約42%だが、寝室や子ども部屋、書斎などのパーソナルスペースでは約15%、単身世帯のワンルームでは約28%。パーソナルスペースやワンルームではリビングほど設置が進んでいないという。
同社では、この個室での普及率の低さは空気清浄機の本体サイズにあると考え、リビング以外の部屋への設置を促進させるため、本体構造を見直してコンパクト化、スリム化を実現させた。
新たにラインアップに加わる製品は、プラズマクラスター空気清浄機のFU-NC01とプラズマクラスター加湿空気清浄機のKI-NS50の2機種。
円柱形で空気を360°から吸い込むFU-NC01
プラズマクラスター空気清浄機のFU-NC01は、円柱形で従来機とは異なるデザイン。190mm径で高さはペットボトルよりもやや高い330mm。本体の最下部に吸気口を設け、360°の全方位から汚れた空気を吸い込む構造になっている。
コンパクトに収まるよう、集じんと脱臭を「集じん・脱臭一体型フィルター」にまとめ、吹き出し口は天面部の全周に配置されている。
ハイグレードと同じ加湿フィルター構造のKI-NS50
プラズマクラスター加湿空気清浄機のKI-NS50はプラズマクラスター25000搭載。奥行きが230mmで、2019年度モデルのKI-LS50よりも32mm薄くなったスリムモデルだ。
ウイルス対策として加湿の重要性が周知されるようになってきた。KI-NS50では加湿量を高めるため、加湿フィルターを二重構造として、より多くの水を放出する構造となっている。これは現行のハイグレードモデルのKI-NX75と同じ構造で、加湿を「強」で運転したときの加湿量は600mL/h。前出のKI-LS50比で約9%アップし、同時に運転音も低減したという。
底面にはストッパー付きキャスターが付いていて、掃除の際などの移動時がラクな仕様になっている。また、給水タンクはハンドル付きで、給水時にはハンドルがスタンドになり自立するのも便利だ。
ラインアップ拡充でお客の選択肢が拡大
シャープの空調・PCI事業部では、『世界の空気を健康に。』を事業ビジョンに掲げる。また、プラズマクラスターの安心・安全性がすべての人に必要で、健康に貢献するものであることを『今日も、いい空気と。』というブランドメッセージに込めて認知と普及拡大を目指すとしている。
コロナ禍でこの冬は室内空気の浄化や加湿が注目されている状況下、個室ニーズに対応した新製品は販売サイドにとって大きな販売チャンスとなる。FU-NC01は1月15日発売予定のため、年末商戦には間に合わないが、単身世帯の引っ越しを伴う新生活需要では拡売が期待できる。
従来の新生活提案は生活家電とテレビのセット提案が一般的だったが、ニューノーマル時代に合わせて空気清浄機もセットに組み込んで提案したい。また、年末商戦で空気清浄機を求めるお客に対しては、寝室や子ども部屋、書斎等の個室や玄関、作業机の上など、FU-NC01の幅広い設置性を説明し、予約を取ることに注力してみてはいかがだろうか。
空気清浄機はエアコンと同じように一家に1台ではなく、1部屋に1台が必要とされる時代になってきた。この5年間ほど、空気清浄機市場は停滞していたが、個室への導入ニーズが拡大することでさらなる成長が望める。ラインアップが拡大したプラズマクラスター空気清浄機で個室に対する訴求提案を進めていこう。