東京おもちゃショー2017レポート (Part.2)玩具は誘客と売り場間送客のトリガー
家電量販店にとっての玩具
買い替え需要が中心となっている家電市場。多くのお客にとっては、家電量販店を訪れるのは家電の購入時だけとみられる。家電量販店では来店頻度を増やすために日用品などの非家電商品やリフォーム商材の品ぞろえを厚くする動きがあり、家電以外でも来店動機をつくりたいというのが現状だ。そこで、玩具が力を発揮する。
町の玩具店が少なくなったことから、玩具を販売する場所として家電量販店やショッピングモールを思い浮かべる親は多い。目下子育て中である筆者の周りの保護者に聞いても、家電量販店での玩具の取り扱いを知らない保護者はあまりいない。玩具を見に行き、家電量販店での日用品の取り扱いを知った保護者もいる。購入するとポイントが付与されることも好印象だ。
特に家電量販店で取り扱いが拡充している知育玩具は、「祖父母世代からも親世代からも関心が高い」(知育玩具を取り扱うメーカーの担当者)という。2020年の教育改革では大学入試方式が変わったり、小学校でプログラミングが必修化されたり、従来より「考える力」を身に着ける教育へと変化の時を迎える。店舗からそのような社会の動きを発信することで、より知育玩具への需要が高まるかもしれない。
家電量販店の玩具コーナーでは、実際の商品を遊んで試せるようにしたり、お座り期やハイハイ期の子供でも安心して遊ばせられるように、弾力のあるマットを敷いたキッズスペースを用意している店舗もある。
昨今再ブームとなっているミニ四駆のサーキットを設ける店舗もあり、夕方には放課後の子供たちでにぎわうという。
家電量販郊外店の店長は、「当店のキッズスペースは店舗面積の都合上、二畳にも満たないほどの小さなスペースですが、晴天時はもちろんのこと、雨天時などの公園に行くことができない日に、赤ちゃん連れのお客さまが来店されます。このスペースは店舗の集客にとって欠かせません」と、玩具の取り扱いが来店頻度の増加に一役買っていると話す。
リフォームコーナーにキッズスペースを設けている店舗もある。店長は「当店は立地環境から、平日の昼間にお孫さんと一緒に祖父母の方々が来店されます。お孫さんをそばで安全に遊ばせながら、リフォーム関連商材を見て興味を持たれる方々が今後増えることを期待しています」という。
玩具のイベントで来店のきっかけづくりを
パイロットインキは、メルちゃんの販促として、実際に商品としてあるメルちゃんのドレスと同じデザインの子供用のドレスを販売店に貸与し、ドレスを着て写真撮影ができる「メルちゃん おそろいドレス撮影会」を提案している。
開催する販売店に、女児用ドレス3着、メルちゃん1体、背景ボード1枚、告知ポスター2枚がセットになっている>
着替えのスペースや撮影機材が必要なため実現できる店舗は限られるが、例えばデジカメコーナーと連動して、デジカメのメーカーから借りたデジカメを保護者に使ってもらい、それをプリンターで印刷したものをプレゼントするといった取り組みならば、デジカメやプリンターの新規需要獲得や買い替え需要を刺激することもできる。
ある玩具メーカーの担当者は、家電量販の販売員は玩具好きな人が多いと話す。そのため、商品展示にこだわる販売員も多いという。パイロットインキが毎年開催している「メルちゃん 売り場コンテスト」では、家電量販店が賞を獲得している。
玩具は人をハッピーにさせる商材だ。家電も同じ。買った人をワクワクさせることができる。この二つが合わさることで、家電量販店が子供にとっても保護者にとっても「楽しい場所」と感じてもらえることが期待される。
主力の家電販売や今後の収益の柱の一つとなるであろうリフォーム事業をさらに推進していくためにも、来店の呼び水となる玩具は、家電量販にとって今後さらに重要な商材となるものと思われる。
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東京おもちゃショー2017