新生オリオン電機の音にこだわった小型テレビ「極音」 東京・二子玉川の蔦屋家電で先行発売開始


メーカー各社から高音質を訴求した大画面テレビが発売されている。画質の進化に伴い、改めて音質も見直されてきた所以である。しかし、大画面サイズでの高音質化は見直されても、小型テレビはまだまだ貧弱な音のテレビが多いのも事実。季刊誌「家電biz」秋号に掲載したオリオン電機は、小型テレビの新商品を「極音(きわね)」と命名。音にこだわる小型テレビを市場投入する。

先行発売を記念して蔦屋家電でトークショーを実施

オリオン電機は11月27日から東京・二子玉川の蔦屋家電で、新製品の「極音」32V型(RN-32SH10)と24V型(RN-24SH10)の先行発売を開始した。これに伴い、当日、蔦屋家電においてTOKYO FMの番組を公開収録という形で、パーソナリティのホフディラン小宮山雄飛氏を迎えた発売記念トークショーを開催した。

先行発売を開始した東京・世田谷区の蔦屋家電。オープン後2年半が経過しても来店客数は1日2万人前後が訪れるという

オリオン電機は来年で創業60周年を迎える老舗のAV機器メーカー。テレビの生産は2,000万台を超える実績があり、海外を主戦場としてきた。国内に1つ、タイには2つの生産拠点を持ち、自社開発によるノウハウ構築は国内メーカーに対してOEM供給などを行っているほど、商品開発力や技術力においては評価が高いメーカーである。

海外市場がメインだったこともあり、国内での認知度は決して高いとはいえない。2015年3月31日に国内投資ファンドのブレイン・アンド・キャピタル・ホールディングスに事業譲渡し、新生オリオン電機として再スタートを切った同社が、改めて国内の一般消費者に向けて開発したのが「極音」だ。

オーディオの技術や部材をふんだんに使ったものづくり

「極音」の特徴は、何と言っても高音質にある。クラス最高の高音質を追求したとうたうだけあって、オーディオ回路や音響構造をオーディオメーカー出身者のエンジニアたちが設計し、徹底した音のチューンアップを図ったという。

独立したスピーカーボックスは高剛性で、迫力の低音を再生。音の透過性にも配慮したサランネットグリルは脱着が可能

スピーカー部搭載のマグネットは従来の2倍以上の大型サイズを使用し、40×100mmのフルレンジスピーカーを配置している。キャビネットの素材にはポリカーボネート入り肉厚ABS樹脂の複合素材を採用することで高剛性化も図った。

新開発のCDB(Crank Duct Bass-reflex)構造でダクトを曲げることにより、聞き取りやすい低音を再生する
左は従来のマグネットで、右が「極音」に搭載したマグネット。大型化されたことがハッキリ分かる

高出力オーディオアンプ回路には、高級ハイファイオーディオ製品に使用される高音質フィルムコンデンサーを採用。電源回路やアース回路を見直すとともに、32V型では20Wの大出力アンプを搭載し、迫力のある音声と明瞭感のある音声を同時に実現している。

また、32V型では新開発のΦ35mmバランスド・ドームツイーターを搭載。スピーカーが2Wayになることで、スポーツや音楽、映画などが臨場感に溢れた音質で再現されるという。

4種類の音声モードを搭載。8バンドのグラフィックイコライザーで自分好みの音にもできる

高音質と高画質を両立させ、メーカー保証は3年間

音にこだわったといって、画質を疎かにしたわけではない。32V型ではクラス最広域のNTSC色域カバー率85%のLEDバックライトモジュールを自社開発して、より自然な色を再現。2Kの小型画面でも高画質で番組やコンテンツを観たいというニーズにも対応している。

さらに、ブルーライト軽減モードや省エネ基準達成率220%、地上デジタル・BS/110度CSデジタルチューナーを2つ搭載しているので裏番組にも対応できる仕様だ。製品開発における自信のほどは、メーカー保証期間を3年とした長期の保証期間にも見てとれる。

トークショーに先立ち、登壇したオリオン電機の鹿取泰郎常務執行役員は、「テレビは音が良くないと言われ続けてきました。弊社はそこに注目して、良い音でテレビやコンテンツを楽しんでいただきたいとの思いで、設計をしました。『あなたのテレビ体験を変える』がコンセプトで、『良い音で見るって、すばらしい』をお届けしたいと考えています」と述べた。

続いてオリオン電機の野又恒雄代表取締役社長が登壇。「オリオン電機は福井県越前市に本社を構え、50年以上にわたってAV機器などを作ってきました。越前市は伝統工芸の街。オリオン電機においても、ものづくりへのこだわりを製品に体現できないかということを模索して、新しいテレビを作ることにいたりました。オーディオの技術とテレビに取り組んできた技術を融合した、新しいテレビをぜひとも体感していただきたい」と、同社のものづくりへのこだわりを説明した。

登壇したオリコン電機野又恒雄代表取締役社長

オリオン電機のものづくりに対するこだわりと、古くから人の手によるものづくりが盛んな越前市との関係で、越前市の奈良俊幸市長が登壇。越前市についての紹介を行った。

続いて、二子玉川の蔦屋家電を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの武井総司家電企画事業部部長が登壇。「蔦屋家電のコンセプトは世界最高の生活提案を実現する店。ライフスタイルの軸となるのは家電。「極音」を体験していただいて、ライフスタイルを変えるきっかけになっていただければと考えています。「極音」は体験すると、その凄さが分かります」と「極音」に対する期待感を述べた。

ミュージシャンも絶賛した「極音」の音質

メインであるトークショーでは、前述のホフディラン小宮山雄飛氏とオリオン電機の市川博文常務執行役員が登壇。市川氏は「オリオン電機に入社する以前は日本のオーディオメーカーで30数年間、開発や設計に携わっていました。自分が培ってきたノウハウをテレビの中に盛り込むことで、どんなコンテンツでもより楽しんでいただけると思いました。

テレビは究極のオールインワンで、いろいろな人が楽しみます。一番テレビを使っている人はシニア層で、ニュースやドラマのセリフをしっかりと聞きたいと思っています。そういった方々にも「極音」は楽しんでいただける製品です」と「極音」の製品化にかけた思いを語った。

ホフディランのボーカル・キーボードを担当する小宮山雄飛氏
公開収録でトークショーに臨んだオリオン電機常務執行役員の市川博文氏(左)と小宮山雄飛氏(右)

パーソナリティの小宮山氏も「ミュージシャンなので、これまで自宅でテレビを観る時は横にスピーカーを付けて、アンプを付けて、ということが必要でした。でも、「極音」はこれ1台だけで楽しめます」と視聴体験を語った。

ホフディラン最新アルバムからのミュージックビデオを「極音」で再生
カルチュア・コンビニエンス・クラブ家電企画事業部部長の武井総司氏(左)とオリオン電機代表取締役社長の野又恒雄氏(右)

先行発売された「極音」の蔦屋家電での売価は24V型が税抜き36,800円で、32V型が同46,800円という。従来の液晶テレビではコストアップや設計上のスペースの都合から搭載できなかったオーディオ製品専用の部材や新たに開発した技術を盛り込みながらも、リーズナブルな価格で提供したいとの考えから実現した売価である。

いまだにテレビのボリュームゾーンとして大きな台数構成比を占めている32V型。パーソナルユースとしてジャマにならないサイズ感の24V型。この両サイズにおいて、高品質だが低価格を実現した「極音」は、新生オリオン電機として自信を持ってリリースした商品である。

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