ビックカメラが酒類販売の単独店舗をお台場にオープン 今後、商業施設内のテナントで単独店舗の出店を年に1~2店計画


ビックカメラグループのビック酒販は、8月8日に東京都港区お台場の商業施設「アクアシティ」に「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」をオープンした。これまでリカーコーナーはビックカメラの店舗に併設という形で展開をしてきたが、今回はビックカメラグループとして初の単独店舗となる。

70㎡に約2,000アイテムの酒類を展示。クラフトビールが約1割占める

「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」はアクアシティ4階に出店し、売り場面積は約70㎡。取り扱いアイテムはワイン、日本酒、焼酎、ウイスキー、ビールなどのリカー類とグラスなどの関連グッズ約2,000アイテム。人気を博しているクラフトビールは約200アイテムに及び、国内からは約90種類を集めた。

同店は2017年4月にオープンした「Air BIC CAMERA アクアシティお台場店」と隣合わせになっており、当初は両店が仕切られていたが、その仕切りを撤廃。双方の売り場が行き来できるような構造とした。レジカウンターもお客の利便性を考え、共通レジではないが、隣合わせになっている。専任の販売員は2名を配置し、お客の問い合わせや商品選びなどのサポートを行う。

手前の「Air BIC CAMERA アクアシティお台場店」から奥の「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」へ通り抜けができる

ビック酒販代表取締役社長の村松隆之氏は同店の狙いについて、「Air BIC CAMERA アクアシティお台場店の利便性向上が一つ。また、ビックカメラのポイントを使ってお酒が購入できることで、日々の消費に利用していただけることも狙いの一つ」と話す。これまでのビックカメラのリカーコーナーでは、つまみなどの食品も置いていたが、「店舗の特徴として何か尖ったところがほしいとの思いから、あえて食品類は置いていません」という。

ビックカメラの子会社で2001年に設立されたビック酒販の村松隆之代表取締役社長

アクアシティは訪日外国人も多く訪れるため、“日本全国のリカー類がここに来れば購入できる”ことをコンセプトにした。前述のとおり、クラフトビールの品揃えは約200アイテム。エントランス正面に円筒形の什器を配置し、入店客が必ず目にとまるようなレイアウトを実現している。

什器を上段まで活用し、品揃えのボリューム感を演出

エントランスにはこれまでのリカーコーナーの取り組みと同様に、気軽にワインを楽しんでもらおうとの考えから、安価な価格のワインを展示。エントランス右手には海外での人気も高くなっている国産ウイスキーを並べ、そこから海外のウイスキー、バーボン、ブランデーと流れる構成だ。

エントランス右手には最近、人気が急上昇している国産ウイスキーのコーナーを配置
エントランス正面と奥の壁面に配置したクラフトビール。その数は約200種類で、そのうち90種類は国産クラフトビール

このところ、ビックカメラはターミナルへの出店とともに玩具専門店のビックトイズや立地に合わせた品揃えのセレクト、ビックドラッグなどの小型店舗も展開している。これらによりお客とのタッチポイントを増やすことで、ビックカメラのポイントが広く使われることを狙っている。楽天スーパーポイントの付与も、同様の狙いから行っている施策といえよう。

ビックカメラリカーは年に1~2店の出店を計画

ビックカメラリカーの展開について、村松氏は「今後もビックカメラリカーを年に1~2店、出店していきたいと考えています。出店の立地としては、ビックカメラの既存店舗の商圏エリアから少し離れたところを想定しています」とのことである。既存店の商圏近く出店することで、ビックカメラグループの商圏を拡大させる狙いだ。

ビックカメラリカー アクアシティお台場店の年商は1億2,000万円、顧客単価は1,500円ほどが目標という。また、Air BIC CAMERA アクアシティお台場店の3割ほどのお客が同店を利用すると想定。お台場という立地は観光スポットでもあり、訪日外国人客も多く訪れるため、年商の約半分は訪日外国人客による購入を見込む。

Air BIC CAMERAの入り口の右手奥にビックカメラリカーの入り口がある

家電売り場は季節商品や新商品の導入などで展示の入れ替えを行い、売り場の鮮度を保つことが重要である。酒類も多少は季節による展示変更があるが、毎年、必ず新しい商品が発売されるわけではない。

ビック酒販が扱っている酒類は約2万アイテム。売り場の鮮度という点では、このアイテムの中から「お客様の動向を見ながら商品の入れ替えをして、飽きられない品揃え」をしていく考えという。

インバウンドと地域の住民も同時に取り込む

ビックカメラは訪日外国人客、つまりインバウンドに対してこれまで積極的な施策を展開してきた。今回、台場という立地およびAir BIC CAMERA アクアシティお台場店隣への出店という観点から考えると、インバウンド需要の取り込みという狙いは十分に理解できる。

その一方で台場地区にはタワーマンションが複数建っている。有明や豊洲からもさほど離れていないこともあり、これから住民の増加が予想される。実際にアクアシティには100円ショップやペットショップ、カジュアルファッション、書店など、日常的な買い物に利用する店舗がテナントとして入店しており、近隣の住民もターゲットとして想定している。

家電に非家電・住設をプラスした店舗で集客力や売上高の向上を目指すというのが、今の家電量販企業のスタイルといえよう。ビックカメラは既存店においては専門店の集合体というスタイルを維持しつつ、専門店の単独店舗展開も並行して取り組んでいる。店舗の多面展開とインバウンド、EC、PBなど、様々な施策で、今後の企業およびグループを成長させていく方針だ。