オーブンレンジの新製品 各社の特長を整理


オーブンレンジのフラグシップモデルが相次いで発表された。発売日は、パナソニックの3つ星ビストロNE-BS1500が6月1日、東芝ホームテクノ過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム」ER-SD7000 が6月上旬 、シャープ ウォーターオーブンヘルシオ AX-XW500が6月14日、日立 過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ」MRO-VW1が7月7日 だ。各社の商品の特長を整理して紹介しよう。

パナソニック グリルがさらに時短

スチームオーブンレンジビストロの「NE-BS1500」は、グリル皿の表面にヒーターの熱を反射しやすいチタンをコーティングした。グリル皿の素材を変更することで、火力をアップし、さらにヒーターの配置を高密度化。火力がアップしたことで、立ち上がり時間も早くなった。また、新しく搭載したマイクロ波制御などによって、調理時間を短縮。4人分のスペアリブならこれまでオーブンで約30分かかっていたが、NE-BS1500はグリルを使って約21分で仕上げる。塩さば2人分は、従来約14分かかっていたが、新製品では約8分で焼き上げられる。

メインの料理が30分足らずで準備でき、食事の用意が短縮できることは、毎日食事を作る人にとってうれしい機能だ。実際に調理すると、裏側もしっかり焦げ目がついて焼きムラがないのもポイント。このほかカップボードなどに設置しやすいようコンパクト設計も実現している。

トークのポイント

・短時間でメインのおかずが作れ、食卓の支度が短時間ですむ
・毎日のおかずづくりや、お弁当づくりに便利
・焼き物、蒸し物、揚げ物、煮物も調理できる
・裏面までしっかり焦げ目がつく、加熱時間が短い
・30Lでコンパクトな設計

「NE-BS1500」総庫内容量30L
内部パーツを小型化し、本体高さ37cm+上方8cmのコンパクト設計を実現。外形寸法は幅494×奥行435×高さ370mm

東芝ホームテクノ 約1時間でパンが焼ける

新製品「ER-SD7000」は、時短にこだわったモデル。パン作りは”こね”、”発酵”、”焼き”など複数の工程に分かれており、時間がかかる。例えばフランスパンの場合、全行程を終えるのに必要な時間は約4時間ほど。新製品では約1時間で手作りパンがつくれる「お手軽パンメニュー」を搭載した。このメニューでは、時間が短いだけでなく、ヘラとボールを使って作るので、手が汚れにくい。

初心者でも手軽にパンが作れる

そのほか、深さ5cmの深皿を使った「深皿メニュー」も用意。焼き時間20分以内でつくれるスピードメニューを搭載し、日々の献立づくりをサポートする。

トークのポイント

・パン作りやお菓子作りをする人に人気のオーブンレンジ
・深皿を使えば、おかずだけでなく、パスタ料理や米料理などの主食も作れる
・奥行39.9cmの薄型コンパクト設計
・1時間でつくれるパンメニューなどのスピードメニューを搭載

総庫内容量30Lの過熱水蒸気オーブンレンジ『石窯ドーム』ER-SD7000

シャープ “低温調理”機能を搭載

ウォーターオーブンヘルシオ「AX-XW500」は、好評の「まかせて調理」機能をさらに進化させた。「まかせて調理」は、食材の温度帯、分量に関係なく火加減や調理時間を自動で調節する機能。AX-XW500では、「まかせて調理」と同時に、惣菜のあたためもできるようになった。下段で揚げ物などの惣菜をあたためながら、上段で「まかせて調理」を使って、おかずをもう1品用意できる。惣菜を買ってくると、野菜不足が気になるので、筆者なら野菜をたっぷり使ったメニューを作りつつ惣菜のあたために使いたいと思った。

新搭載の「あぶり豊潤焼き」メニューでは、低温調理の機能を搭載した。密閉性の高い庫内を蒸気で満たして温度を下げ、肉が硬くならないように低温でじっくり加熱する。ローストビーフはもちろん、ダイエットメニューとして人気の”サラダチキン”も手軽につくれる。「あぶり豊潤焼き」メニューでつくった肉料理を試食したが、中がしっとりしてやわらかくとても美味しかった。また従来、ヘルシオ本体に話しかけることでしか利用できなかった音声対話機能は、スマートスピーカーにも対応。リビングなどから献立相談ができる。

ウォーターオーブンヘルシオ「AX-XW500」
下段で惣菜を温めつつ、上段でもう1品調理ができる
肉料理はしっとりとジューシーに仕上がる

トークのポイント

・肉料理がしっとり美味しく調理できる「あぶり豊潤焼き」
・お惣菜ともう1品が手軽につくれる「まかせて調理」
・嗜好や調理履歴を学習する。低カロリーメニューをよく作っていれば、ヘルシーなメニューを提案するなど、自分の使い方に合わせたメニュー提案をヘルシオがしてくれる
・スマートスピーカーで音声操作がしやすい

日立アプライアンス 火加減おまかせで塊肉を上手に

日立アプライアンスの過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ」MRO-VW1は、食品の分量に合わせて火加減を自動でコントロールする「Wスキャン調理」のオートメニューを拡充。10分以内で仕上げる50のメニューを含む、143のオートメニューを用意した。解凍メニューは重さと温度を測り必要な加熱量を算出してムラをおさえて解凍する。新製品では、10%以上解凍時間を短縮した。設置性にも配慮すると同時に、外して洗える庫内底面の「外して丸洗いテーブルプレート」は、左右前後の手かけ部を約8mm高くして引き出しやすくした

筆者は、昨年モデルMRO-TW1のレビューをしたことがあるが、解凍機能がとても優秀で驚いた。ひき肉も薄切り肉もドリップがほとんど出ずに、キレイに解凍できて、野菜の肉巻きやハンバーグなどをつくるのに便利だった。その解凍機能が、新製品ではさらに時間が短縮したというので、食材をまとめ買いする人には使い勝手が向上しそうだ。

トークのポイント

・重量と温度をはかるので解凍にムラがなく、時間の従来品より短縮。解凍時間は、豚の薄切り肉200gがオートメニュー「薄切り肉」で約4分30秒、牛・豚合いびき肉200gがオートメニュー「ひき肉」で約5分
・ローストビーフなど火加減が難しいメニューをオートで調理
・新冷却構造を採用し、左右・背面壁ピッタリ設置を実現(放熱スペースは上方10cm)

総庫内容量30L。外形寸法は幅497×奥行449×高さ375mm。新冷却構造を採用し左右・背面壁ピッタリ設置を実現。

販促のメーンビジュアルは肉料理

メーカー発表の資料を見ると、「肉料理」をメーンビジュアルに採用しているメーカーが多い。その背景には「健康志向などから赤身肉の人気が続いている」「肉料理は子どもにも人気」「おもてなしの際、肉料理があるとゲストに好評」といった理由がある。

中でもローストビーフなどの塊肉料理はつくりたいと思っても、火加減の調整が難しく難易度が高い。フラグシップほど、センサーの数と種類が多く、熱源の制御にも各社の技術力が発揮されている。そのため繊細な温度コントロールができるので、塊肉の調理でも失敗が少ないというわけだ。

肉料理に限らず、接客時には、ユーザーがつくりたいと思っているもの(毎日のおかず、お弁当のおかずと朝食の支度、お菓子、パンなど)を調理する際の付加価値の説明がトークのポイントだ。

例えば毎日のおかずなら、「短時間でできる」「副菜もあわせて調理できる」、お弁当と朝食の支度なら「複数のメニューを同時につくれる」「片付けが簡単」「短時間でできる」、お菓子やパンなら「一度のできる個数」「オーブンの予熱時間」「最高温度」「熱のまわり方」などだ。ニーズをヒアリングしながらユーザーベネフィット部分をしっかり訴求しよう。