サーモスの2019年秋冬新製品に見る、ステンレスボトルやスープジャーの新しい提案
種類の豊富な真空断熱のステンレスボトルやタンブラー
ステンレスボトルはベストセラーのJNLシリーズの新色をリリースする。軽量コンパクトタイプで、フタを固定するロックリングを外すと、ワンタッチでオープンできるといった特長を持つ。
ボトルのサイズにより4タイプに分かれ、350mlの「JNL-354」と500mlの「JNL-504」はパステル系を中心にした5色展開。600mlの「JNL-604」はメタリックな質感の3色、750mlの「JNL-754」はパールブラックとネイビーピンクの2色のみとなる。口径は約40mmで、希望小売価格は税別5,500~7,000円だ。
「JOE」シリーズは、真空断熱タンブラーと同じ形状を採用する。近年タンブラーのユーザーが増えており、家の中で使っているタンブラーと同じデザインにすることで、そのまま外に持ち出せる親しみやすさを訴求する。容量360mlの「JOE-360」は3色、480mlの「JOE-480」は2色展開となる。
JOEシリーズは、飲み口の口径が49mmと広いため(JNLシリーズは40mm)、飲みやすくて香りを味わいやすいといった特長を持つ。内蓋は水滴がパッキンの溝にたまるのでテーブルに落ちにくい構造だ。希望小売価格は、税別5,500~6,000円となっている。
家電量販店では象印やタイガーにシェアで水を開けられているサーモスのケータイマグだが、ホームセンターやスポーツ用品店などでは強く、登山用モデルなどはほとんど独占状態だと言う。サイクリング用、ゴルフ用、あるいは工事現場などの作業現場用など、用途別提案に注力し、持っていく場所に合ったデザインを採用したり、他の小物用品と一緒に携帯しやすい工夫を凝らしていたりする。
ステンレスボトルはストロー付きやコップ付きなども含め、さまざまなタイプが各社からリリースされ、色とりどりで売り場はかなり賑やかしい。だが、実際に選ぼうとすると種類が多すぎて自分に合ったものがなかなか選びづらい。
1つひとつ容量の分かる売り場は良い方で、漠然とずらっと並べてあるだけの売り場も見かける。「今度でいいや」「通販でのほうが選びやすい」とならない為にも、どんな人向けにどんな機能を提供しているのか、売り場で見ただけで分かるのが理想だ。
サーモスでは軽量さをアピールするために、売り場に秤(はかり)を設置して、来店客が気軽に重さを比べられる展示を仕掛けたことがあり、好評だったと言う。セルフ商材はデザインの違いにどんな意味があるのか店頭で知らしめるには、展示を工夫するしかない。夏から秋にかけ、行楽や行事で利用者も増える時期だけに、安易に並べただけの売り場にならぬよう気を付けてほしい。
スープジャーは冬だけのものじゃない!
スープジャーにも少し触れておきたい。新発売のスープジャー「JBT」シリーズは、容量300mlの「JBT」が3色、400mlの「JBT-400」も3色、500mlの「JBT-500」が2色の展開だ。小容量ほど可愛く柔らかいパステル系の色合いで、500mlは男性でも使いやすいシックなカラーになっている。希望小売価格は税別4,500~5,500円。
スープジャーは中に熱いものを入れるため、単純なフタでは時間が経つと圧力が変化して回しづらくなる。前モデルではフタを二重構造にし、上のフタを押して回すことで圧力を解放し、下のフタを回すようにしていたが、新しいJBTシリーズでは、フタを回し始めると途中で圧力が解放される「クリックオープン構造」を採用。このため、そのまま回していけば開けられる構造になった。
発表会には、ゲストとして料理家で弁当コンサルタントの野上優佳子さんが登場し、2019年の食のトレンドを踏まえた上で、食品ロス解決のアイデアを提案した。例えば、保温調理で皮ごと食べれば過剰除去の解決につながること、残り物を詰め替えて次の食事に活用すれば食べ残しの解決につながること、汁物は煮るだけの簡単調理にすれば直接廃棄の解決につながることを訴えた。
また、夏にスープジャーを使うときは、スープジャー本体を冷蔵庫で約1時間予冷した後、氷を1つ入れておくと余分な保冷剤を使うことなく長持ちするという。スープジャーに入れる食品も事前に5分間、冷蔵庫で冷やすとさらに効果的に長持ちすると述べた。
夏場のお弁当の衛生には気を配りすぎて損をすることはない。上記のようなテクニックを売り場で紹介することで、スープジャーに魅力を覚えるお弁当ユーザーも少なくないだろう。ステンレスボトルと同様、展示の仕方が売上を左右するセルフ商材なので、顧客が「それを使っている自分や家族」を想像できる売り場を作ってもらいたい。
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