アクアがコロナ禍でB to B向け感染防止対策商材を開発 顔認証機能付き自動検温システムを1月中旬に発売


新型コロナウイルスの感染者は年が明けて、さらに拡大しており、首都圏の1都3県では7日に2度目となる緊急事態宣言が発令された。収束の見通しが立たない中、一層の感染防止対策が求められるところだ。このような状況下、アクアはB to B向けの顔認証機能付きサーモセンサーシステムを1月中旬から発売する。

清潔をテーマにしてきた製品開発を新分野に活かす

周知のとおり、アクアは洗濯機や冷蔵庫などの生活家電やコインランドリー用の業務用洗濯機を主力とするメーカーだ。同社では、特に洗濯機において「清潔志向」を特長として製品開発に取り組んできたという。

このコロナ禍で社会全体の衛生管理分野に対するニーズが高まっており、これはある意味で同社の「清潔志向」と合致する部分がある。「清潔志向」は安心・安全に過ごすためのもので、新型コロナウイルスの感染防止対策も同じ目的だからだ。

アクアのコインランドリー用洗濯機はオゾン水による除菌すすぎ機能を搭載。洗濯物の雑菌を除菌して衣類を清潔にする

発熱者やマスク未着用者の入場・入館を制限することにより、すでに入場・入館した人の安全を確保することができる。このような考えから新たな分野への展開をスタートさせたと同社では解説する。

設置場所に応じた2タイプをラインアップ

アクアが発売するのは、タブレット端末型の顔認証機能付きサーモセンサーシステム2機種。ラックマウントタイプのCTS-NY8RとウォールマウントタイプのCTS-NY8Wだ。CTS-NY8Rは別売りのオプションとして卓上スタンドとポールスタンドがあり、設置する場所によって最適なポジションで入室・入館時のチェックができる。

本体のディスプレイ部は8インチで共通(上)。下はCTS-NY8Rの背面(左)とCTS-NY8Wの背面(右)

本体はディスプレイ部の上部に赤外線体表面検知モジュールが取り付けられており、本体の前に立つと自動で検温する。新型コロナウイルスの感染拡大により海外製も含む製品が数多く市場投入されている。それだけに製品としての信頼性やトラブルの際のサポート等について不安を感じる向きもあるだろう。

アクアでは家電製品や業務用製品の開発・生産で培ってきた品質と全国網のサービスネットワークで、品質面での信頼性とサポートに関しては万全の体制を構築しているという。

検温の測定誤差は±0.3℃で、顔認証の判定は1秒未満

顔認証機能付きサーモセンサーシステムの特長は、
①高精度体表面温度測定
②本人認証とマスク着用検知
③完全非接触操作

の3点である。

の高精度体表面温度測定は、ドイツ製高精度体表面温度測定モジュールを搭載。検出距離は検知モジュールから30~60cmで、検温の際は1,024点ものポイントで被検者の表面温度を測定し、測定誤差は±0.3℃という業界最高水準の高精度を実現している。測定の結果はディスプレイと音声アナウンスで通知する。被検者の体表面が設定温度以上だった際も画面と音声でアラートとして通知される。

被検者が設定よりも高熱時の場合は画面にアラートが表示され、音声アナウンスでも基準値を超えていることを伝える

では、検知モジュールに内蔵された両眼カメラと独自の画像処理アルゴリズムにより、登録してある本人画像との認証を行う。一致すれば音声アナウンスで通知し、なりすましを防止する。顔認証に要する時間は1秒未満で、2m離れた距離でも顔認識ができる。顔認証の精度は99.7%以上で、認証に必要な顔情報の登録は20,000件までとなっている。

マスクやメガネをしていても瞬時に登録者と合致するかを判定する

また、両眼カメラの一つに赤外線LEDを搭載していることで、夜間や暗い場所であっても測定精度は変わらない。さらにマスク着用の有無も検知し、未着用の場合は画面にメッセージが表示されるとともに音声でもマスク着用を促すアナウンスが流れる。

用途に合わせて体表面検出と顔認証、マスク着用検出を自由に組み合わせることが可能

本体に付属の有線LANケーブルを接続し、同一のLAN環境でPCを接続することにより、システム設定や検知、情報管理がすべて遠隔で③の完全非接触操作ができる。付属の専用ソフトウェアを使うと遠隔からリアルタイムでの映像確認や複数の端末管理も行える仕様だ。

付属のソフトウェアでは勤怠管理や検温記録など、拡張性がアップする

ニーズの高まりを受けて店舗の法人客に向けた提案を

同製品はB to B向けで、個人客に販売するものではない。しかし、都市型も郊外型も顧客は個人の客のみではない。商圏内のさまざまな店舗や他業態、企業、公共機関など、いわゆる法人客を顧客としている家電量販店の店舗は少なくないだろう。それらの法人客に対して、アクアの顔認証機能付きサーモセンサーシステムを提案できるのではないだろうか。

小規模オフィスの受付などでも自動検温システムを設置しているケースが見られる

検温機能は新型コロナウイルスだけでなく、風邪やはしかなどの発熱を伴う感染症の感染防止策にもなり、顔認証機能は勤怠管理とセキュリティとしての使い方もできる。新型コロナウイルスの感染状況を考えると、当面はwithコロナでの対応が求められる。つまり非接触が基本となり、サーモセンサーに対する法人需要はさらに高まることが予想される。

本部の法人担当部署はもちろんだが、自店の顧客に多くの法人客がいるのであれば、法人向け提案商材として取り扱うことを検討してみてはいかがだろうか。