水流で口内の汚れを洗浄する、ヤーマンのウォーターフロス「waterpik」レビュー
世界シェアNo1のウォーターフロス
筆者は掛かりつけの歯科医からデンタルフロスの利用を勧められたのだが、指が太くて口の中、特に奥歯にフロスがなかなか通せず、何度かトライして結局諦めてしまった。似たような経験のある人は多いと思う。
ウォーターフロスは「チップ」と呼ばれる専用の管を口に入れ、チップの先から水を出し、その水圧で汚れを落とす。チップは歯ブラシより細く、歯と歯の間に上から通す必要もないので、口が小さかったり指が太かったりしてもまったく支障はない。
ウォーターフロスを使えば、歯と歯の間に挟まったカスや、歯と歯茎の間の歯周ポケットの汚れを除去するのはもちろん、歯を矯正している場合は矯正器具を掃除しやすいのも特徴となっている。
ヤーマンが販売するwaterpikは、アメリカの口腔洗浄機メーカーwaterpik社が開発した、世界シェアNo1を誇るウォーターフロスだ。同社の調査によれば、一番水流に勢いの出るジェットチップを使用して3秒間プラーク(歯垢)に当てた場合の除去率は、最大99.9%と言う。価格はヤーマン直販サイトで税別24,000円となっている。型番は「wp-660j」。
waterpikの本体サイズはW141.1×D117.0×H262.9mm、重量662g、タンク容量は651ml、水圧は10~100PSIとなる。抱えるほどの大きさではないが、片手で気軽に持ち運ぶようなサイズでもない。電源も取らねばならないので、基本的に洗面所の周辺に据え置いて使うことになるだろう。電源コードは130cmとそれほど長くないので、洗面所の電源が足りない場合はコンセントタップを使うなど工夫が必要になる。
使い方はシンプルでほぼ見た目の通り。本体をコンセントの利用できる水場に設置し、タンクに水を入れ、4種6本付属するチップの中から使用するものを選んでハンドルに装着すれば準備完了だ。給水タンクは水をいっぱいに入れると、上部にあまり余裕がなくなるのでこぼさないように注意したい。
初めて使うときは、ジェットチップで具合を確かめていくのが良いだろう。ハンドルにチップを差し込んだとき、カチッと音がするまでちゃんと押し込む。チップを差し込んだあとで向きを調整するには、溝の付いたチップ回転ノブを回せば良い。
チップの種類が多くて管理が面倒に感じるかもしれない。よく使うチップは2本までタンクの裏に挿しておける。また、チップを保管するためのケースが付属するので、滅多に使わないチップはケースに入れて洗面所の収納にでもしまっておくと良いだろう。
ハンドルのスイッチの慣れが使いやすいと感じるかのさかい目
準備ができたら電源プラグをコンセントに挿して、ハンドルを手に取ってチップを口にくわえ、ハンドルのスイッチをONに切り替える。
ハンドルの「ON/OFF」スイッチは、水流を通すか止めるかに使う。OFFの状態で電源ボタンを押し、口にくわえてから手元でONに切り替える。使用中に水を吐くタイミングでも水流を一時停止させられる。実際に試してみると分かるが、このスイッチの扱いに慣れるかどうかが、シンク周辺や袖口を水浸しにしないで済むかどうかのさかい目だ。
電源投入直後は自動的に「Floss」モードになる。水の勢いをダイヤルで10段階から切り替えて調整し、口の中を掃除していく。水流が歯や歯茎に対して垂直に当たるようにするのがコツで、奥歯から前歯に向かって順番に掃除していく。
使い終わったら、ハンドルのスイッチをOFFにし、タンクの水を捨てて電源プラグを抜いておく。電源プラグは挿しっぱなしにする人が多くなりそうだが、水場ということもあり、使わない時は抜いておくのが正規の使い方となる。
ハンドルは握りやすいが、本体と水を送るコードで繋がっているので、電動歯ブラシほど取り回しやすくない。水を使う以上、タンクと切り離して使うことは考えられず、ここは仕方のない部分だ。
なお、取扱説明書では事前準備としてチップをシンクに向けたあとで、ダイヤルを「10」にセットして電源を入れ、水がちゃんと出るか確認しておくようにと記載されている。ダイヤル「10」はかなり水の勢いが強いので迂闊に構えると、シンクから水がはねて服や床が濡れるかもしれない。ダイヤル「1」で水を出し、水圧を確認しながら「10」まで試していくのが良いと思う。
電源ボタンの下のモード切り替えボタンを押せば、「Massage」モードに切り替えられる。Massageモードは水流が途切れながら出るようになり、歯茎をマッサージするように使える。同じく取扱説明書によれば、Flossモードを1分使用したあと、Massaseモードで歯茎をほぐすのがオススメだそうだ。
実際に試してみるとMassageモードはややくすぐったい。Flossとはダイヤルの数値を変えて使ってみるなど、調整しながら自分の好みを探すと良いだろう。
Flossモードでは「1分間タイマー/30秒毎のお知らせ」機能も利用できる。使用から30秒経過すると一時停止し、さらに30秒経過(合計1分経過)すると再び一時停止する機能で、同じところばかり掃除せず次へ進むよう促すためのものだ。
このお知らせ機能は初期設定でONになっており、OFFにもできるのだが、ON/OFFの操作が面倒くさい。OFFにする場合、本体の電源がOFFの状態でモード切り替えボタンを押して起動し、FlossモードのLEDが点灯したら、切り替えボタンをMassageモードのLEDが点灯するまで長押しする。ONにする場合は、最初のFlossモードのLEDが点灯したところで同じように切り替えボタンをFlossモードのLEDが点滅するまで長押しする。この操作はもう少し直感的に分かるようにして欲しかった。
歯を高圧洗浄するかのような水の勢い
実際に使ってみると、最初は袖口を濡らすなどのヘマもしたが、少しの慣れでシンクを水浸しにせずに使えるようになった。
使うときは口から水がこぼれても大丈夫なようにシンクに身を乗り出しておく。チップをくわえてしまえば口を閉じて使うことも可能だが、チップから水が出続けるので早晩吐き出すことになる。
水の勢いはかなり良い。ダイヤル「1」でも3メートルくらいは水が飛ぶ。ダイヤル「10」では10メートルくらいは飛びそうな勢いなので、くれぐれも口の中にチップを入れてからスタートするよう気を付ける必要がある。
実際、浴室でダイヤル「10」で飛ばしてみたが、ハンドルに振動が伝わり、天井にバシャバシャと音を立てて当たった。洗面所やキッチンシンク周りの細かな部分の高圧洗浄に使おうと思えば、使えてしまうのではなかろうかと、規定外の使い方まで試したくなったほどだ。
水の勢いを強くすると、水の射出の反動でチップが口の中でノックするかのように前後する。歯間の汚れは落ちるが、水の勢いのダイヤルがもっと操作しやすければ、汚れが気になる一瞬だけ勢いを強くすることもできたに違いない。
歯と歯の間や、歯周ポケットの汚れはよく取れる。特に食事の直後は面白いように取れるのだが、歯と歯の間にガッチリ挟まって爪楊枝でこじ開けないとならないような手強いものは流石にきびしかった。
それから、これで歯が磨けているかと言うとそれは役目が違うと感じる。歯のホワイトニング維持にはやはり歯ブラシや電動歯ブラシでブラッシングするほうが向いているはずだ。
タンクを満水にした状態から水の勢いによってどのくらい使用できる時間が変わるか調べた。ダイヤル「1」の場合は、ジャスト5分00秒で電源が切れ、タンクの水はほんの少しだけ残る状態だった。ダイヤル「10」の場合は、1分45秒でタンクが空になった。
売り場での実演や試用の難しい点が販売上の課題
ヤーマンのWebサイトに動画などもあり、売り場でディスプレイ表示している店舗などでは、使い方のイメージを顧客と共有しやすい。デンタルフロスと違い、インプラントや被せ物などといった、口の中の修復物を傷つけにくいのがメリットであることをしっかり訴求したい。
一方、水を使うものでもあり、実際に顧客に試してもらえる場所がほぼないのが悩みどころだ。店頭で実演しようにも、扱いを間違えると周囲に水を飛び散らしてしまったり、顧客に試用させると顧客が服を濡らしてしまう恐れもあったりしてかなり難しいはずだ。
映像では使い方のイメージは湧くものの、普通の視聴者は「本当にこんなに簡単に汚れが落ちるのか?」「どうせ大袈裟に違いない」と勘ぐるものだ。歯は人それぞれであり、扱いの慣れにも影響を受けることや、ブラッシングの代替としてはオススメできないことも伝えつつ、waterpikは歯に隙間の多い人や歯周病が気になる人、デンタルフロスが苦手な人にオススメのオーラルケアアイテムであるとアピールするなど工夫しよう。
3月31日(水)までは「30日間返金保証キャンペーン」も実施しており、実際に試してみたいと言う顧客には、このキャンペーンを積極的に伝えて販売につなげたい。
なお、付属のチップだけでなく、同社の直販サイトで別途オプションとして「歯ブラシチップ」「舌クリーナーチップ」なども購入可能だ。
■関連リンク
ヤーマン waterpik公式サイト