吸引力勝負の優位を店頭でもアピール パナソニックのコードレススティック


パナソニックは9月17日、コードレススティッククリーナー「POWER CORDLESS」シリーズのメディア向けセミナーを開催した。発売済みの「MC-SBU830J/630J」と「MC-SBU530J/430J」に、同日発表となった「MC-SB30J」を加え、実際に手に取って体感しながら吸引力や使い勝手などを理解できる内容となっていた。

コードレススティックからの買い替えも約2割

ハイパワータイプのMC-SBU830J/630Jは8月25日、お手入れの容易なフィルターレスタイプのMC-SBU530J/430Jは、6月20日に発売された製品だ。軽量で取り回しの便利なMC-SB30Jは、10月25日発売となる。

発売中の製品は既に店頭で売価が出ているが、発表時の市場想定売価は、MC-SBU830Jが税別90,000円前後、MC-SBU630Jが税別75,000円前後、MC-SBU350Jが税別60,000円前後、MC-SBU430Jが税別50,000円前後、MC-SB30Jが税別45,000円前後となっている。

POWER CORDLESSシリーズのラインアップは3タイプ5機種

業界では既によく知られている通り、クリーナーの市場はコードレススティックタイプがキャニスタータイプを抜いて最もボリュームのあるカテゴリーになっている。

パナソニックの調査によれば、キャニスターからの買い替えが構成比の約75%を占め、コードレススティックからコードレススティックへの買い替えも20%に近づく勢いだと言う。

購入時に重視するポイントは、吸引力の強さが67%、本体の重量が65%でニ大要素になっており、以下、お手入れのしやすさが56%、ヘッドの動かしやすさが52%、連続運転時間の長さが37%と続く。

クリーナー市場の需要推移

最上位は吸引力至上主義、軽量化しながら更にパワーアップ

パナソニックのPOWER CORDLEは、高い吸引力をコンセプトに開発された製品で、2018年モデルの「MC-SBU820J」ではキャニスター並の吸込仕事率200Wを実現した。ハニカム構造のセルロースファイバー樹脂で軽さと強度にもこだわったが、それでも本体重量は1.9kg、スティック装着時で2.5kgと、軽いとは言いづらかったのが正直なところだった。

2019年モデルでは、モーターの改良と、ターゲットをより明確にしたラインアップの整理により、この課題のクリアを図っている。

POWER CORDLESSの色違いを含むラインアップ。左からMC-SBU830Jのメタリックグレーモデル、MC-SBU630J、MC-SBU430J、MC-SB30Jのグレーモデル

MC-SBU820Jの後継となる「MC-SBU830J」では、モーターのカバー部分をアルミ素材に変更。重量を従来の400gから235gに約40%軽量化し、そのうえで回転数は76,500回/分から100,000回/分へと約30%引き上げた。これにより、吸込仕事率は205Wに向上。モーターが軽くなった分、より大容量のバッテリーを搭載して、最大約65分だった運転可能時間を最大約90分に引き上げ、そのうえで本体重量は100gの軽量化を図り、本体重量1.8kg、スティック装着時で2.4kgとした。

モーター以外で目に付く変更点としては、スティック(延長管)が3.5cm短くなっていることも挙げられる。本体の重量バランスが見直されたことで、約10cm持ち上げた時に手に掛かる力が約20%軽減され、階段掃除などがより少ない力で行えるようになっている。

モーターの大きさを説明する、パナソニック スモールアプライアンス商品部 リビング商品課の柴田絢香さん。右手で持っているダークグレーの旧モーター(左)に比べ、左手で持っているシルバーの新モーター(右)は、回転数を上げながら、一回り小さく40%も軽い
左が従来モデルのMC-SBU820Jで、右が新モデルのMC-SBU830J。並べて立て掛けて見ると、高さが3.5cm低くなっている

パナソニックでは、MC-SBU830Jの吸引力の優位性を最大限アピールするため、吸引力の測定装置を用意し、家電量販各社の全国600店舗余りに展示する。密閉できるボックスにスティッククリーナーのヘッド部分を入れ、吸引力のみで重りを釣り上げる仕組み。来店客が自由に利用できるように設置すれば、同社製品だけでなく、他社モデルとの比較もできるのではないだろうか。

MC-SBU830Jでの吸引力テストの様子。下位モデルでは1つしか持ち上がらない重りが、MC-SBU830Jでは2つとも持ち上がる

下位モデルは重視ポイントをお手入れの容易さと軽量さに振る

最上位のMC-SBU830Jと、本体カラーとアタッチメント構成を変えただけで同じ吸引力を持つMC-SBU630Jは、言ってみれば吸引力至上主義モデルだ。店頭では吸引力だけでも強力なアピールポイントとなる。

その点、同じPOWER CORDLESSシリーズでも、下位のMC-SBU530J/430Jと、MC-SB30Jは、吸引力がMC-SBU830J/630Jより劣るため、“吸引力が比較的高め”な中で別の差別化ポイントが必要と考えた。

そこで、MC-SB530J/430Jでは、お手入れが容易なフィルターレスサイクロンを採用した。8気筒遠心分離で空気とゴミを分離するため、お手入れの面倒なプリーツフィルターを搭載しない。ダストカップに溜まったゴミを都度ゴミ箱に捨てる点は変わらないが、ステンレスフィルターはゴミが付きにくくなっており、使い方にもよるが数ヶ月に一度のお手入れで十分だと言う。

MC-SB530Jは吸込仕事率が最大140W、バッテリーの運転可能時間は最大約60分でスティック装着時の重量は2.4kg。MC-SB430Jは本体の性能はMC-SB530Jと変わらず、本体カラーがオレンジになり、ふとん清潔ノズル、ペタすき間ノズル、3段伸縮ロングすき間ノズルが付属しない。

MC-SB530J/SB430Jは吸込仕事率のスペックだけ見るとどうしてもMC-SBU830J/630Jの廉価版の印象になりがちだ
MC-SB530J/430Jの8気筒遠心分離装置

最軽量のMC-SB30Jは、取り回しやすさを重視する。ある程度吸引力にこだわりつつ、より気軽に使いたいユーザーに向けた仕様となっている。たとえば、MC-SB30Jではヘッドを引いた時に肘が曲がりにくいようバランス設計されており、人が歩く時の腕の振りに近い動きになるため、重さを感じづらくなるとのことだ。

MC-SB30Jの吸込仕事率は100W~約20W。バッテリーの運転可能時間は最大約25分。スティック装着時の重量は約1.6kgだ。クリーンセンサーや、ハッドのガバとり構造は採用しない。

このほか、POWER CORDLESSシリーズ共通の特長として、ヘッドを床に付けたまま、スティックを横に寝かせられる構造になっている。このため、ソファの下なども、スティックがつかえることなく奥まですんなり入っていく。他にもV字ブラシや壁ピタゴムもシリーズ共通で採用する。

クリーナー売り場において「ゴミを一番吸う」は、間違いなく顧客に最も響くキラーワードだ。もちろん、吸引力が高ければそれで良いというものでもない。それでも、そこがスタートラインと考える顧客に対し、真っ直ぐに切り込んでいけるのは大きな強みだ。年末商戦でどこまで善戦するか注目したい。

MC-SB30Jではヘッドを引いた時にも肘が伸びるため、長時間利用しても疲れにくい
MC-SB30Jでソファの下を掃除しているところ