スタイリッシュながら、フルタイムのリモートワークでもバリバリ使えるデルのXPS 13


デルの13型コンバーチブル2in1 PC「XPS 13 7390 2-in-1」に触れる機会を得た。2019年8月に発表されながら、すでに今年の3月に後継機「9380」が発売されている、少し可哀想なモデルだ。タイミングとしては少々遅く、新型コロナの影響であまり持ち歩いて試せなかったのだが、特徴のある優れたマシンであり、折角なので紹介したい。

フットプリントを抑える超狭額縁

XPS 13シリーズは、デルのフラグシップに位置づけられるモデルで、高い性能とシンプルで使い勝手の良いデザイン、フットプリント(接地面積)を小さくできる超狭額縁の液晶画面を備えている。本体サイズは、W296×D207×H7~13.0mmで、重量は1.33kg(最小構成時)。

XPS 13 7390 2-in-1は画面が13型だが、フットプリントは従来の12型並みとなっており、持ち運びやすいサイズ感は大きな魅力の1つだ。

レビュー機は、CPUにインテルの第10世代Coreプロセッサー「Core i7-1065G7」を搭載する。Ice Lake-Uと呼ばれていた4コア8スレッドのチップだ。前機種からグラフィック性能が大きく向上している。

キーボードをくるりと背面に回すことで、タブレットになるコンバーチブルタイプ

筆者が見るに、XPS 13 7390の一番魅力的な要素はデザインであり、たたずまいだと思う。シルバーのリッチな筐体と、上下左右の4辺の極細ベゼルがとにかく美しい。このデザインは、後継機の9380にも引き継がれている。

画面解像度は、フルHD(1920×1200)と4K Ultra HD(3840×2400ドット)が用意されており、今回レビューしたのは、高精細な4K Ultra HDのモデルだ。4K動画がきれいな解像感のまま視聴できる。

画面は10点マルチタッチ対応で、スタイラスペンでも指でも操作できる。ただし、指でファイルなどを操作するには4Kは解像度が高すぎるため、タブレットの利用頻度が高い場合は標準の解像度をタブレットにあわせて低めに設定しておいたほうが使いやすいと感じた。

Webカメラはディスプレイ上部に配置しており、顔認証のWindows Helloにも対応している。この細いベゼルの中に組み込まれていると思うと「凄いな」という感想が自然と口から出てくる。

ディスプレイを180度広げたところ。視野角が広く、光沢パネルながら、表面に反射防止コーティングが施されているので周囲が映り込まない

キーボードは余裕を持った配列で打鍵感もしっかりしていて良い。指紋認証センサーを兼用する電源ボタンは、backspaceの真上に配置され、間違えてタイプして電源を落としてしまわぬよう、他のキーよりもぐっと押し込んで利用するようになっている。

筐体は従来と同じくアルミとカーボンファイバー(黒)もしくはグラスファイバー(白)。今回はカーボンファイバーを採用したモデルをレビューしている。天板のアルミはCNCによる削り出しとなる。

パームレストなどのキーボード周囲は、航空宇宙産業でも使われるカーボンファイバーによる軽くて頑丈な素材を、編んだような意匠に仕上げていて、指ざわりはとても上品。頑丈で端の方を持ったときにたわむことがないのも安心感がある。写真をよく見ると気づくと思うが、タッチパッドやパームレストは指の脂が残りやすいのがやや残念だ。

デザイナーが日本の箸から着想したというシャープな横顔のデザイン

インターフェイスは絞られ、USB 3.1 Type-C(DP / Power Delivery対応)×2(Thunerbolt 3準拠)、micro SDカードスロット、ヘッドホン/マイクコンボ端子となっている。従来モデルと比べると、USB 3.1 Type-Cが1基減っている。

コンパクトさと頑丈さ、デザインの良さは目を引くが、一方で気になるのが重量だ。この重さは店頭で手に持ったときにかなり印象的。特に周囲にもっと軽いPCが並んでいれば余計に重たく感じる。実際は1kgを270g上回っているだけで、一昔前ならびっくりされる軽量さだ。カバンに入れてしまえば大して気にならないことを上手に伝えたい。

タブレットとして使う場合も、手に持って使用するよりは、新幹線の座席などの狭いスペースにテントモードで置いて動画を見たり、テーブルに置いて複数人で覗き込みながら操作したりが使いやすそうだ。電車に乗っているときに片手で持ちながら、電子ブックを読んだり、ゲームをプレイしたりといったことにはあまり向いていない。

このリュックはXPS 13よりも一回り大きなノートPCがすっぽり入ることもあり、出し入れがとてもスムーズにできた

リモートワーク環境を見直したいお客に訴求

5月25日に全国で緊急事態宣言が解除された。とはいえ、新型コロナの特効薬がまだ開発されていない以上、再流行がないと言い切れるものではない。

緊急事態宣言中は自宅でリモートワークするユーザーが増えたが、自宅に作業効率の良いきちんと整った環境を用意できていた人はそれほど多くないことと思う。マシンパワーが貧弱で、同じ作業なのに職場のパソコンより時間がかかっていた人からすれば、この機会にいつでもリモートワークに移れる準備を整えておきたいと考えるのは自然だ。

こういうときこそ、パソコン売り場ではプレミアムなモデルの魅力をしっかり訴求したい。「とりあえず動けばいい」「重たい作業は会社でやるから」そう考えていた人に、自宅でも高性能で使いやすいPCが必要だと気が付いてもらおう。

普段使いではあくまでスタイリッシュさを忘れず、持ち運びたくなるシルエット。それでいて、フルタイムのリモートワークでもバリバリ使える。そういうパソコンを探す人に、デルのXPS 13はとても良いマシンだと思う。