シャープが新4K8K衛星放送対応の4Kテレビ、4Kレコーダー、4Kチューナーを発表 店舗全体で4Kチューナーの必要性アピールを
2020年度には4K/8Kテレビ市場は約300万台と予想
9月27日、シャープがAQUOSの新製品発表会を開催した。4Kテレビ3機種、4Kレコーダー2機種、4Kチューナー1機種をリリースしたほか、クラウドサービス「COCORO VISION」に新たに「COCORO CALENDAR」も追加する。
冒頭壇上にのぼった、シャープでスマートTVシステム事業本部 本部長代行 兼 スマートTV開発センター 統括部長を務める加藤直樹氏は、10月中旬には8Kテレビや8Kチューナーも発表すると予告。12月1日から始まる新4K8K衛星放送に合わせ、下期は4K8Kを全面展開する構えを示した。
シャープによれば、2017年度に業界全体で174万台前後の4K/8Kテレビ市場は、2018年度には220万台を超え、2020年度には300万台に近づくと言う。このうち新4K8K衛星放送対応テレビは、構成比を急速に拡大し、2020年度には4K/8Kテレビ市場の90%を占めるに至ると予測する。
同社は現在テレビ市場でトップシェアを握る。4K/8Kテレビを含めたテレビ市場でも40%のシェア獲得を目指すと言う。
また、新4K8K衛星放送開始により、レコーダー市場の買い替えも促進すると予想している。4Kチューナー搭載の製品も含め、広色域「BT.2020」に対応した次世代ブルーレイ規格「Ultra HDブルーレイ」対応機が構成比を大きく拡大する可能性が高い。同社はブルーレイレコーダー市場でも2020年度にシェア1位の目標を掲げると述べた。
同社はセンサーとAIにサービスを組み合わせた「COCORO VISION」で、テレビの新しい楽しみ方を提案している。
従来から提供するVIDEO、MUSIC、GAMEの3つのエンターテイメントに加えて、今回は生活情報の収集や整理に役立つ「CALENDAR」を追加した。AQUOSの大画面に家族の予定を表示し、任意の予定をリモコンから入力できるほか、地域のイベント情報などがお知らせとして届き、そこからスケジュールに反映したいものをチョイスすると簡単に登録可能だ。基本料金無料で利用できる。
また、Googleアシスタントにも対応。Googleアシスタントに対応するヘルシオやエアコンなど同社の家電製品を、AQUOSの画面とリモコンを利用して音声で操作できる。
60型の4Kテレビが30万円を切る価格帯で登場
続いて、シャープ・スマートTVシステム事業本部 国内TV事業部長の宗俊昭広氏が、今回発表した製品の特徴を1つひとつ紹介した。
発表会では、4Kテレビ、4Kレコーダー、4Kチューナー、COCORO CALENDARの順で触れていき、4Kテレビの説明に時間を割き、4Kチューナーは駆け足となっていた。本稿では逆に4Kテレビや4Kレコーダーは簡単に紹介し、販売現場で一番売るのが難しくなりそうな4Kチューナーの「AS-C00AS1」に注目したい。
4Kテレビの型番と発売日、価格(市場想定価格)は次の通り。
60型「4T-C60AN1」、11月17日発売、オープン(28万円前後+税)
50型「4T-C50AN1」、11月17日発売、オープン(20万円前後+税)
45型「4T-C45AL1」、12月22日発売、オープン(15万5,000円前後+税)
60型でも28万円前後+税という、野心的な価格帯で登場する。BS4K・110度CS4Kチューナーは2基搭載。新4K衛星放送に最適化した高画質エンジン「AQUOS 4K Smart Engine PRO」を採用する。
60型と50型では、低反射「N-Blackパネル」を採用するほか、2.1ch 3ウェイ 5スピーカーのサウンドシステム「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」を搭載している。
4Kレコーダーの型番と発売日、価格(市場想定価格)は次の通り。
HDD容量4TB「4B-C40AT3」、11月24日発売、オープン(14万円前後+税)
HDD容量2TB「4B-C20AT3」、11月24日発売、オープン(11万円前後+税)
HDD容量とそれに基づく録画可能時間のほかは基本的にスペックは同じだ。BS4K・110度CS4Kチューナーを内蔵し、HDDに録画した4K番組を4K画質のままブルーレイに残せる「4Kダビング」機能などを備える。Ultra HDブルーレイ再生にも対応する。
テレビ売り場以外でも伝えたい、4Kチューナーの必要性
4Kチューナーの型番と発売日、価格(市場想定価格)は次の通り。
「4S-C00AS1」、11月24日発売、オープン(3万2,000円前後+税)
4S-C00AS1は、BS・110度CS右左共用アンテナで受信した信号を入力し、BS・110度CSアンテナ出力とHDMIでテレビに接続することで、4Kチューナーを搭載しないテレビでも新4K衛星放送を視聴可能にする。アンテナ出力端子を搭載しているので、アンテナ分配せずともシンプルにテレビと接続できる。
外付けのUSB HDDを別途用意して接続すれば、新4K衛星放送の番組を4K画質のままで録画可能だ。4K画質では1番組あたりに必要な記憶容量も当然大きなものになる。1TB程度だと65時間程度でいっぱいになってしまう。4TBなら約262時間は録画できる。大容量HDDとのセット購入を提案したい。
また、新4K衛星放送ではHDR新方式「HLG方式」に対応し、HLG方式に対応するテレビで明暗表現の豊かなHDR映像が視聴できる。HLG方式に対応しないテレビでも、Ultra HDブルーレイなどで採用しているHDR方式「HDR10方式」に対応するテレビであれば、自動的に「HLG⇒HDR10変換」するので、HDR映像が楽しめる。
ただし、HDR映像の視聴には18Gbps対応のHIGH SPEED(カテゴリ2)HDMIケーブルが必要だ。古いHDMIケーブルでは、ケーブルが原因でHDR映像が出力できなくなる可能性があるのでこの点についても店頭で注意喚起するべきだろう。
なお、HLGにもHDR10にも対応しないテレビに接続した場合は、SDR(標準)映像での出力となる。
BDレコーダーとチューナーを担当する、シャープ・TVシステム事業本部 国内事業部 BD推進部 参事の岩崎宏之氏は、「『いよいよ始まる、新4K衛星放送を見るにはコレ』という打ち出しで、店頭では4Kテレビ、4Kレコーダー、4Kチューナーのどれかがあれば見られることを訴求してほしいと考えています」と語る。
あまり目立たない4Kチューナーだが、この存在は極めて重要だ。
シャープに限らず、各社がこれまで発売してきた4K対応テレビは、アンテナとテレビの間に4Kチューナーを用意しないと新4K衛星放送は受信できない。
家電流通の現場ではテレビ販売担当ならずとも、ほとんどの人がご存知かと思うが、一般消費者はまったく事情が異なる。自分は4Kテレビを買ったから別途チューナーが必要になるとは夢にも思わない消費者は未だまだ多いのだ。そうした人たちが来店客となったとき、従来のテレビだけでは新4K衛星放送は見られないが、「チューナーだけでも揃えれば見られるようになる」ことをいかに気付かせるか。
テレビ売り場に足を運ぶお客にはまだ伝えやすい。問題は放送が始まるまでテレビ売り場に来ないお客だろう。放送が開まるのは、ただでさえ混雑する年末商戦期なのだ。「新4K衛星放送が見られないんだけど…」と久しぶりにテレビ売り場にやって来たお客に、一人ひとり懇切丁寧に説明するのはなかなか難しい。接客時間を短縮し、手離れを良くすることが、お客のためにもなる時期なのだから。テレビ売り場以外の場所でも積極的な情報発信が求められる。