防水コンデジ、レジャー訴求からの脱却 新機種「WG-50」の提案で実践


コンデジの市場動向

縮小するコンパクトデジカメ(以下、コンデジ)市場。その最も大きな要因は、高性能なカメラと通信機能を備えたスマホがコンデジの代替品になったことだ。

コンデジ推移の表

スマホのカメラ機能はまだ進化の余地がありそうだが、コンデジの各メーカーもそれを指をくわえて見ているわけではない。高倍率、高画質、180°チルト稼動するモニターでの
自撮り、広角レンズ、Wi-Fiなど、スマホではできない専用機としての特化機能と、スマホとの連携ができる機能を搭載。スマホとの差別化・共存を図っている。

しかし、スマホとの差別化・共存点はそれだけではない。各機種に、その機種にしかできないコトがある。店頭では、展示と接客の両面から、機種ごとの特長をより細分化して訴求することが肝要だ。

防水コンデジの売り場の現状

梅雨が近づき、夏が目前に迫っている。防水コンデジの訴求に力を入れる時期だ。しかし、都市型家電量販店の販売員に話を聞くと、以前に比べて、防水コンデジは通年で売れるようになってきているという。購入者は、建築系などの仕事で使う人から、ファミリー層、アウトドア志向の人が多いもようだ。

家電量販での防水コンデジの店頭展示は、コンデジの各機種の横にひっそりと置いてあるケース、同じ横並びでも「防水カメラ」というカテゴリー分けをしているケース、昨今機種が拡充してきたアクションカメラや360°カメラなどと一緒にコーナー展示しているケースなど、さまざまだ。

各コンデジの特徴ごとに、高性能、防水、高倍率ズームと分類して展示(コジマ×ビックカメラ ベルクスモール浮間舟渡店オープン時)

コンデジのコーナー内でも「防水カメラ」として他機器との違いをアピールしていると、お客は足を止めやすい。しかし、波をばしゃばしゃとかぶり、水中にぶくぶくと潜りながらの撮影はできないまでも、すでに防水のスマホは存在する。スマホとの差別化という点では、防水のみの訴求だと、お客の注意を引くには、ちょっと弱い。

さらに、防水だけの訴求だと、欲しいと思う人は限られてしまうのではないだろうか。そこで、防水とともに耐衝撃という訴求も各店舗でしているが、実際に家電量販で接客を受けると、レジャーに最適というトークが多く、お客が買いたくなる接客をしているかというと、店舗によって偏りがあると感じる。

早く撮りたくなる!
防水コンデジの新機種「WG-50」の特長

より多くの人の関心を引き、さらに、買いたいと思わせるには、防水コンデジを自分とは関係のないものとして認識させないことがポイントだ。そのためには、①「防水・耐衝撃」であることの利点を生活シーンにまで落とし込んだ訴求、②防水以外の切り口で機種の特長を訴求することが求められる。

そこで、6月下旬に発売されることが発表されたリコーのタフネスコンデジ「WG-50」の機能特徴とともに、防水コンデジの接客や商品展示について考えてみたい。

「RICOH WG-50」。カラバリはブラックとオレンジの二色

①例えば子育て家庭だと、子どもが自分でカメラを使いたがり、親のスマホで写真を撮っている時に落としてしまったという話をよく聞く。しかし、WG-50は、落としても、少々の衝撃ならばへっちゃら。さらに、泥団子を作った手で持っても、クッキーの生地がついた手で触っても、洗える。「デジカメを洗う」という発想はお客には新鮮に感じられるだろう。「子供を撮影」するだけでなく、「子供が撮影」することを安心して任せられる。

これからの時期、突然雨が降り出すことがよくある。そんな時WG-50ならば、ゲリラ豪雨でも壊れる心配がなく、持つ手が濡れていてうっかり落としても大丈夫。天然のシャワーにはしゃぐ子どもの様子を撮影できる。帰宅後に玄関が水浸しになることや、ぐっしょり濡れた洋服の洗濯を考えると憂鬱になる突然の雨だが、WG-50があれば、その後に待っている洗濯のことなど忘れて、その瞬間を存分に楽しめる

スマホや他のデジカメだと撮影できないようなシーンも残すことができるのだ。

②さらに、「防水カメラ」としてカテゴライズされている各コンデジは、使用シーンを想像しただけでわくわくするような機能も搭載している。操作は簡単だし、接客の際に教えてもらえれば、お客が購入後、店を出てすぐにでも使ってみたくなるような機能だ。

WG-50の場合、それはデジタル顕微鏡モード。

WG-50のデジタル顕微鏡モードで撮影した写真

被写体に1㎝まで近づくことができ、レンズ周りに6個ついているLEDの補助光が、被写体に近づいたことによる光量の減少を補ってくれる。

このモードは、子育て家庭の場合、子どもの夏休みの宿題、昆虫や花などの観察、雨の後に葉っぱの上に乗った水滴がキラキラする様子など、子どもの好奇心を刺激するさまざまな撮影ができる。

また、SNS上で人とは一味違う写真をUPできる。残念ながらWi-Fi機能はついていないが、無線LAN搭載SDカード「FlashAir」などの通信機能を持つSDカードを使えば、スマホとの連携が可能だ。

ちなみにこのレンズ周りの補助光は、照明としても使える。暗所ではスマホをライト代わりにして手元を明るくすることがよくあるが、一定時間を経過するとライトは消えてしまう。しかし、WG-50をLEDライトモードにすると、そのようなことはない。地味なことに思えるが、これは生活シーンでもレジャーシーンでも使える便利機能なので、接客時に一言付け加えたい。

レンズ周りに配置された補助ライト

さらに、撮影時に活躍する細やかな気遣いも搭載。ファインダーを持たないコンデジでの撮影時、晴天時はモニターが白っぽく見えて何を映しているのかよくわからなかったり、夜間時は逆にモニター画面が眩しすぎることがある。WG-50は環境に応じてモニターの明るさを調整してくれるので、モニターが見えにくかったり眩しかったりで眉間に皺を寄せることはなくなる。

撮影時のモニターの視認性を良くするアウトドアモニター機能が、左:ありの場合、右:なしの場合

このように、防水コンデジの接客時には、生活シーンにまで落としこんだ防水・耐衝撃性能と機種ごとの特徴をきっちりとお客に訴求したい。さらに、メーカーからの販促物のほかに、各機種の特長や店舗の周辺の撮影スポットなどを書いたオリジナルのPOPなどをつけることで、お客に防水コンデジをもっと身近なものとして認識してもらえるようにしたい。

コンデジの潜在需要はまだまだ存在する。その需要を顕在化させるためにも、生活やレジャーシーンでの活用が思い描け、かつ、楽しくなるような提案に努めよう。

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